繋ぐ~心に傷を負ったこどもたち~【3】

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目黒side







渡｢ つまり……康二は、自分の弟が死んだのを覚えていないってこと？ ｣

『 そう。 』






自分のせいで大切な人を失ったってことは認識してるけど、それが誰なのかは分かってない。


誰かわからない人の死を、ずっと抱えているんだ








『 お願い、約束して。あんたが康二の過去を知りたいのはよく分かる。全てを知っている俺が今、あんたに話すのも不可能なことではない。
だけど…今あんたに話すことを彼は望んでいない。』


渡｢ そう、だよな…… ｣


『 康二が自分から話すまで、待っててほしい。
だから、絶対に彼に聞かないで。今まで通り、彼に接して欲しい。』







この前康二が悪夢を見た時、俺がしょうたくんにその事話せと康二に言ってたのを覚えてる？


俺と康二が、喧嘩をした原因……



意味わかんないよな、あの時は康二に
｢ しょうたくんに言いなよ ｣って言ってたくせに、

しょうたくんには｢ 聞くな ｣なんてな。







渡｢ …わかった。｣






俺は……少しでも早くしょうたくんに康二の過去を知って欲しい。



その上で、康二と向き合って欲しい。




康二が悪夢を見た時、過去を思い出した時、

康二を助けて欲しい。




だけど、俺から言うのではなく、

康二の口から言って欲しい。




しょうたくんに、康二自身が自分の意思で

“この人になら全てを預けれる ”

と思った時に、康二自身の口から言って欲しい。






『 ……頼んだよ 』






それが出来れば、

康二が、しょうたくんに対して心から信頼してるって証拠だから。




しょうたくんも、ちゃんと康二を守ってくれるから。






そして……康二も、本当の意味で前に進めると思うから。

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