小悪魔が二十二匹 ページ24
「おれはダセイでも10年続けてる方がスゲーと思うけどなぁ」
やられっぱなしじゃいられない、と何とか立て直そうとアピールしてみるけど、翔陽くんはそれをスルーして何でもない表情で言う。
それにがくり、と肩を落としつつ、「うーん」とまた言葉を濁した。
「……なんかもう、生活の一部になっちゃってるというか。
バドなんか辞めてやる!って何回も思ってるんだけどね、全然辞められないの、どうしても。
実は高校もね、2個上の先輩に憧れの人がいて、どうしても一緒にバドしたくて烏野入ったんだ」
「え!おれも!!」
「え?」
「おれも、どうしても烏野でバレーやりたくて!」
「小さな巨人って知ってる!?」と馬鹿みたいにキラキラした目で話す翔陽くんが眩しすぎて、目がチカチカした。
私が首を振れば、翔陽くんは「おれがバレー始めるきっかけになった人なんだ」と笑う。
「4年前にテレビで春高の烏野の試合見かけてさぁ。なんかこう……グワッと来て!」
大きな身振りでその「グワッと」を表現する翔陽くんに笑みが溢れる。
「グワッと」……かぁ。
それ程では無いにしても。
「私も分かる気するかも……」
少しの緊張を孕んだ高揚感。
先輩の試合を見た時、間違いなく私はワクワクした。
もしかしたら私は、自分が思ってるよりもバドミントンが好きなのかもしれない。
そうぼんやり考えていれば、隣りから「へへ」と何故か嬉しそうな声。
「じゃあ一緒だな!おれたち」
「へ」
「おれはバレーやるために、Aはバドやるために烏野来たわけじゃん?
おんなじ理由で来たおれたちがこうやって席隣になって仲良くなってるの、なんかスゲーと思わない?」
__翔陽くんが時々する、めちゃくちゃに優しい笑顔がたまらなく好き。
それが自分に向けられてる事が信じられなくて、一瞬思考がフリーズした。
「……わ、私たち仲良し?」
「エ!?違うの!?ごめん嫌だった!!??」
「ううん、そんな事ない……」
焦った様子の翔陽くんに、何度も何度も首を横に振る。
そんな事ない、そんな事ないよ。
私、翔陽くんの1番の仲良しになりたいんだよ。
「今度の試合いつなの?」
「え?あ、2週間後の土曜かな。練習試合だけど」
「見に行っていい?」
「えっ」
「だめ?」
「えっいや……そういうわけじゃ」
「バレー見に来てくれたじゃん。
おれもAの格好良いとこ見たい」
「えぇ……」
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美園(プロフ) - やばい夢主ちゃん好きすぎる…可愛すぎる…日向とうまくいってくれ (2月27日 10時) (レス) @page24 id: 69d991c9f1 (このIDを非表示/違反報告)
やぁでぅん - 主人公と日向くんの絡みが最高です!!これからも更新頑張って下さい!! (5月10日 15時) (レス) id: 92500eea4b (このIDを非表示/違反報告)
ゆな - え、むりおもしろすぎる続きがちでみたい (2023年1月7日 20時) (レス) @page24 id: 6539e90d25 (このIDを非表示/違反報告)
ムー - 小悪魔な少女が無邪気な彼に片思いして振り回されてるの、とても新しくてワクワクします!うまくアピールできなくて少しそっけなかったり、それでもどうやって好きになってもらうか一生懸命なのは、恋する乙女同然ですね!これから二人はどうなっていくのか楽しみです! (2022年10月5日 19時) (レス) @page24 id: 812daaa6d6 (このIDを非表示/違反報告)
水団子(プロフ) - 羽珪藻さん» 毎回悪戦苦闘しながら話を考えているので、そう言って頂けてありがたいです……( ; ; )これからもお暇な時に覗きに来ていただけると嬉しいです。コメントありがとうございました! (2022年8月8日 13時) (レス) id: 3a603e5b42 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:水団子 | 作成日時:2015年10月30日 21時