第四十一話 ユラ・アイスバーン ページ42
木陰に身を潜め、少量の魔力で自分を見えないようにする。まぁこの魔法は専門じゃないし、ただの一時しのぎにすぎないけど。
二十メートル先に蠢く、無数の「生物」。それは、紛れもなく神話に登場する魔物たちの劣化コピーだ。
ふぅ、と一つため息をついて、そいつらを見つめる。そして、魔力を吐き出した。
「Steal the eye」
その瞬間、劣化コピーたちが目に見えてうろたえ出した。それもそうだ。あいつらは今、俺の魔法で視界を奪われているのだから。
その隙に一気に距離を詰め、「闇に潜む猛毒」で致死量の猛毒魔法を帯びた短剣で近くにいた一体を斬りつける。
腐っても神話に登場する魔物、一撃では倒れてくれなかったのでもう一度斬る。
抵抗むなしく地面に倒れたそいつを見て、さっさと「向こう側」へ走った。
「やっぱ所詮は劣化コピーだねぇ。ホンモノとは比べものにならない。俺からしたらただの雑魚だよ」
俺は魔の国の出身だが、ここは亜人の国。お察しかもしれないが、俺は国境を破ったのだ。しかも国境を破るのもこれで2回目。
五年ほど前、迷子になって放浪し、もとの場所に戻るために適当に職業について暮らしていた。けど、つい先日にまたまた迷子になってたどり着いた場所が魔の国と妖精の国の国境だったのだ。
「バラバラになった世界を繋げる」。それは俺の、百年前からずっと変わらない願い。
だから俺は国境を破った。俺一人では世界を繋げることはできなくても、せめて他の国の友人たちに会いたかったんだ。
まず魔の国と妖精の国の国境を破り、妖精の国の友人たちと再会した。そしてついさっき、妖精の国と亜人の国の国境を破ったところだ。
でも、もうすでに魔の国と妖精の国の国境は修復されてしまっていることだろう。
それでも構わない。人の国と翼の国にお邪魔したら、すぐにでも魔の国に戻って――レイに会いに行く。
「ごめん、レイ。ちょっと待ってて」
そう呟くと、亜人の国の友人たちに再会するべく足を進めた。
6人がお気に入り
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
夕暮れの紅猫(プロフ) - 浅葱_なずさん» 一応、続きがありますよ! (2017年9月5日 1時) (レス) id: bc75671915 (このIDを非表示/違反報告)
浅葱_なず(プロフ) - 凍結でつか(*゚▽゚) (2017年9月4日 22時) (レス) id: 638a6231c6 (このIDを非表示/違反報告)
夕暮れの紅猫(プロフ) - 欺瞞と悪戯の神・ロキさん» ありがとう! (2017年7月22日 17時) (レス) id: bc75671915 (このIDを非表示/違反報告)
欺瞞と悪戯の神・ロキ - 遅くなりました!直したよ! (2017年7月22日 16時) (レス) id: 55b7b486eb (このIDを非表示/違反報告)
欺瞞と悪戯の神・ロキ - 夕暮れの紅猫さん» わかった!何とかしてそれにする!僕の事はためでいいよ! (2017年7月21日 22時) (レス) id: 55b7b486eb (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:ステラどるちぇ x他14人 | 作者ホームページ:
作成日時:2017年5月28日 20時