【小説】我が世界、最高にファンタジー！！ (ページ32)

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第三十一話　ツサック・アルトハウザーページ32

道端の石を蹴り上げる。

世界は、神々の戦争でバラバラに砕け散った。まったく神様もやらかしてくれたものだ、と常々思う。
まぁ、祖父母が何とか生き残ってくれたから自分は今存在しているけれど。

どうやらその戦争以後それぞれの国の外交で摩擦や軋轢が生じ、それが今でも継続しているらしい。
その話を聞いた時、何故自国で他の人種を見ないのかという謎が解けたのであった。

それゆえに、人種差別というものが今世に存在しているわけで。

「ハウザーさん」

寂れた街をぶらついていると、近所の知り合いの男の子が寄ってきた。

「これ、忘れ物」

男の子が差し出したのは、自分の軍帽だった。まさかこんな大きな忘れ物をするとは自分でも予想外だった。

「ハウザーさんの帽子かっこいいから、実はさっきちょっと被ってたんだ」
「…一日だけなら貸してやってもいいぞ」
「本当！？」
「一日だけだからな」
「うん！」

嬉しそうに言って男の子はすっぽり軍帽を被ると、さっき自分が来た道を走って引き返していった。

きっと親や友人に見せに行ったのだろう。
微笑ましく思って、少年の背中が見えなくなるまで其処に立っていたが、やがて見えなくなったので、歩き出した。

其処までは良かった。

電柱に、不思議なポスターが貼られているのに気付いた。

『我が世界、最高にファンタジー計画:メンバー募集中！私達は共に散らばった世界を繋ぐ仲間を探しています！！』

世界を繋ぐ。
その文字が一番に彼の目に飛び込み、思わず足を止めてポスターを凝視した。

『問おう。汝この企画に参加したい者か？』
「…っ？！」
『汝の目の前のポスターから話しかけているんだ。もう一度問うぞ。この企画に参加する者か？』

唐突に頭に響いた声に吃驚仰天、一瞬何の事だかわからず瞬きした。…遠隔会話魔術か。

面白い。

「…ああ、参加しよう。詳しく話を聞…」
『そうか！ではいくぞ、転ばぬよう気をつけろ』

は、と声を出す間も無く、巨大化した魔法陣と強風に呑み込まれた。