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｢…ほーん、良かったやん、｣
｢？…なんで拗ねてるの？｣
｢別に、なんでもあらへんし。｣
聞きたいって言ったのは自分なのに、なんとなく、オレの知らないAの話を聞くのが、嫌だった。
ずっと、ずっと一緒だったのに、最近は登下校しか一緒にしてへんし。まぁ、オレも友達出来たし、今はそいつらと居るのが楽しくてそっちに居るけど……もうちょっと、もうちょっと構ってくれてもええと思う、だなんて、鬱陶しいと思っていた温度が少し恋しくなった。
｢そういやお前、師団は？なんか入ってるん？｣
｢んぇ？師団？まだ何も決めてないけど…ろ…クライン君の師団体験にくっついてって色々見てる感じかなぁ、｣
｢……決まってないんやな？｣
｢え、うん。でも魔具研なんか楽しそうだなって…｣
｢放課後迎え行くから、｣
｢ん？別にいつも通り待ってるよ？｣
｢教室迎え行くから！明日！！入団届持って待ってるんやで！！｣
｢えぇ…？もー…｣
｢じゃあな！！明日寝坊すんなよ！！｣
｢はーい、また明日ねー、｣
玄関先で手を振って、隣の家に入っていくあいつを見ながら、モヤモヤするオレ。
なんやねんAの奴、最近遊んでくれへんと思ったらクライン君とかいう知らんやつの名前ばっか出しやがって。隣のクラスやからって、そんな別行動しなくてもええんちゃうか。
｢…ずっと、遊んでくれるって言ってたのに、｣
思ったより下を向いていた視界で、漏れた本音。
こんな時、いつもAに絡みついていたオレのしっぽは、行き場を失ってどこか俯いていた気がする。
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作者名：!! | 作成日時：2023年6月3日 11時
