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「なんでまた一人の世界に行っちゃうかな、結構勇気出して言ったんだけど。おーい、Aちゃん？」
「わ、ごめん、今考え事してた」
「そんなのわかってるよ、どれだけ僕がAちゃんのこと見てると思ってるの」
それってどういう意味なの、と聞くのが怖い。もし想像している答えと違ったら立ち直るのに時間かかりそう。それでも聞かなきゃ、こんな機会二度とないから。
「デートって、いつも遊んでるのとは違うの？ それはどうしてって、聞いてもいいかな」
「どーしてって言われても……今はまだ言いたくないかな。でもいつもよりかっこいい服着て、Aちゃんをかっこよくエスコートして、魔界のお洒落な夜景とか見たい！ それはいつも僕らがしてる遊びとは違うでしょ？」
「うん、確かに。でも楽しそう」
「でしょー！」
いつも通り楽しそうに笑う彼の様子に、もしかしてと高鳴った胸が落ち着いてくる。きっとこれは彼が見つけた新しい遊びで、その相手にうってつけだったのが私だっただけなんだ。でもよかった、そのデートを他の悪魔としてたらと思うと苦しい。
「うん、じゃあ今度の休日はデートしよう」
「じゃあAちゃんもとびきり可愛い服着てきてね、それで、覚悟して来て」
可愛い笑顔から急に、陰のある不敵な笑みへと変わった時。ずっと握られていた手が持ち上げられ、その甲にゆっくりとキスをされた。私の瞳を見ながら、ゆっくりと。彼の唇の感触がはっきりわかるほど丁寧な所作に手と心が熱を帯びる。目頭が熱くなって涙が膜を張る。何か叫びだしたくなるような感情を押さえておくだけで精いっぱいだ。
「お互いドキドキしてた方が楽しいじゃん。次はどこにされるか想像するだけで、頭の中いっぱいになるでしょ？ 僕の事だけ考えてよ」
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作者名：!! | 作成日時：2023年6月3日 11時
