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次は味付け卵に箸を通す。力をかけずにすっと箸が通り、中から黄金がとろりと溢れ出てきた。これや、半熟最高。断面を見る限りそこまで中には味が染みてへんような気がするが、どうだろうか。……見た目に騙された、味がしみしみで黄身も美味い。濃いめの味でごはんが進みそうや……！
「あ、お米いる？ このあとメインあるけど食べられそうだったら出すよ」
「くださいｯｯ」
出てきた米はつやつやで一粒一粒が立っており、食感は硬めで食べ応えがある。一口ずつ噛みしめたくなるようなお米と最高の味玉なんて、これだけで魔力満タンになってまう！
これは是非トンにも食べてもらいたいが、人数が増えるとそれだけ先輩の負担になってしまうからな、後で余りがあったら魔ッパーに詰めてもらおう。
「……どう？ 美味しい？」
「マジ美味いっす、特に味玉がしっかり味染みててトロトロで最高です」
「じゃあそれが乗った魔ーメンなんてどうかな、召し上がれ」
ドン、と置かれた目の前の料理からは香ばしくも刺激的な香りが漂っていて、先輩に説明してもらっているのに何一つ頭に入ってこうへん。黄金のスープに先ほど食べた味玉が浮かんで、とろりと零れそうな黄身が俺の事を誘っているようだ。麺はスープに絡みやすいように縮れ麺、メン魔と魔ネギと……そして横に置かれた赤い、油。
「これは普通にうちで出してる魔ーメンなの。でも味変できるように、こっちの魔ー油を新しく出そうと思って。辛いの平気？」
「平気っすけど、ちなみにどれくらい辛いんすかこれ」
「刺激的なものが好きな悪魔もいると思って……30万」
「さんじゅうまん？」
「30万魔コビル」
魔コビル……どこかで聞いたことがある。辛さの値で、一般的な辛み調味料に使われるあの爪で4〜5万魔コビルらしい。それが30万…？ 俺の胃腸は無事生きて帰れるのか？ それでも先輩にこんな期待した目を向けられたら、食べないわけにはいかない。なによりも俺の箸を止められないのは、この魔ー油がとてつもないええ匂いを発して脳に直接訴えてくるからや。食べることが好きな悪魔やったら絶対逃げられない危険な誘惑、受けてたとうやないかい！
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作者名：!! | 作成日時：2023年6月3日 11時
