【魔！企画】悪魔は今日も尻尾を揺らす【後編】 (ページ14)

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優雅で華麗なおもてなし/em ページ14

皆さんお元気ですか？

エーミールでございます。

残暑も日ごとに和らぎ涼風が心地よい季節となってまいりました。今日も素晴らしい一日になりそうです。

さて、今回は叡智を司る悪魔、わたくしエーミールの知的で文明的なお客様へのもてなしをご紹介したいと思います。

美しいクラッシック音楽が流れる空間でいただく深入りドリップコーヒーもしくは優雅なジャンピング(※お湯を注いだ時に茶葉が上下に動く様子)をした紅茶はまた格別です。アフターヌーンティースタンドに乗ったスコーンやバナナタルトと一緒に美味しくいただければ言うことはありません。これでお客様も私のもてなしに満足にしてくださることでしょう。

「さて、どちらを用意するにもお湯は必須。『彼女』が来るまで時間もありますし、ゆっくりとお湯の準備をしながら新聞でも読んでいましょう」

ヤカンに火をかけながらあの日、私と彼女が約束した日を思い出す。

◇◆◇

そう、あれは草の間から差し込む光が美しい昼頃のことでした。私が優雅に読書をしようと本を開いた時、彼女──Aさんが私の所に駆け寄って来たのです。嬉しそうに必死に走ってくるその姿はまるで小動物のような愛らしさがありました。

『エーミールくん！よかったぁ、ここにいたんだね！』
『おや、Aさんではありませんか。そんなに慌ただしくしてどうされたんですか？』
『えへへ、エーミールくんに借りてた本返そうと思って！はい、これ』
『ありがとうございます。どうでしたか？貴女の趣味に合っているといいのですが』
『うん、流石エーミールくんって感じ！すっごく面白かったよ！』
『それならよかったです。……実はこの本の続編が家にあるんですよね』
『え、そうなのっ！？読みたい！』
『では、今度の休みに家に招待するので、その時のお渡ししますね』
『うん、楽しみにしてるね！』

◇◆◇

期待を乗せた彼女の笑顔の輝きを私は生涯忘れることはないでしょう。しみじみと彼女の笑顔を思い出しながらお湯が沸いたヤカンに手をかけようとした時です。

ピンポーン

来客を知らせるベルが鳴り響いたではありませんか。
おかしい、彼女が来る時間までまだ余裕が────。

「──って、時計止まってる！？」

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