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時は流れて。
オレらもそこそこの歳になり、進学先をどうするか考えていた頃。
｢うーん…魔海学園、地帝学院…あと悪魔学校かぁ…どっちも楽しそうだけどなぁ、｣
オレの部屋の、ゲームをしてる俺の横でペラリ、ペラリと学校のパンフレットを眺めるA。
相も変わらず友達が増えなかったオレと、そんなオレからずっと離れなかったこいつは所謂｢幼馴染｣という関係らしいが、ずっと一緒、というのはやっぱりどこかムズムズする。
それでも何故か心地良いこの関係が、オレは嫌いでは無かった。
｢んー…でもあんまりルールルールって言われるのも嫌だし、喧嘩とか賭け事とか私全然強くないしなぁ…普通に怖い…｣
｢悪魔学校で、ええやん。｣
｢んー？｣
だからこそ、進学したら急に隣からこいつが消えるのは妙に違和感があって。
｢せやから、悪魔学校でええやん。おんなじでええやろ。｣
｢なんでそんな他と悩んでんねん、オレがそこ行くって知ってるやろ、お前、｣
｢い、いの？…｣
｢は？どういう意味やねん、｣
｢いや、ほら…ゾム…私と離れたがってるかな、って…だから悪魔学校は行かない方がいいのかな、って…｣
｢はぁ？意味わからんわ、Aのくせに変な気使っとるんちゃうわアホ。｣
｢はいキレそうー、もうこれは許してあげない。悪魔学校行こ、絶対離れてなんかあげないんだから。｣
進路先を決めてやったのにべー、と舌を出されたのにイラッとして、やっていたゲームに戻る。すると背中に感じた、オレより少しだけ小さめの背中の温度。
｢重いんやけど、｣
｢重くないですー、ふふ、でもまたゾムと同じ学校か。楽しみだな、よろしくね。｣
｢…呑気やなぁ、｣
｢いいでしょ！まぁでも確かに、約束してたもんなぁ、おっきくなっても遊んであげるって。｣
｢うっさいだけやわ、｣
｢はいはい、｣
いつからか、ずっと隣に居るこいつにだけ、少しだけ、気恥ずかしさからかつんとした態度をとるようになった。それでも変わらずにオレの隣にいてくれる事、約束を覚えててくれた事にまた、胸がポカポカする。
｢友達…出来るといいね、｣
｢まぁ、せやなぁ｣
なぁなぁな返事になったのは、別に友達が出来なくても、お前が居ってくれるって、わかってるから。
そんな今と変わらん未来もまぁ、悪くは無いかと、来年からも隣に居るであろうAと過ごす学校生活に思いを馳せて、少しだけ口角を上げた。
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作者名：!! | 作成日時：2023年6月3日 11時
