【魔！企画】悪魔は今日も尻尾を揺らす【前編】 (ページ4)

今日:11 hit、昨日:12 hit、合計:5,833 hit

・ページ4

「……はいぃ！？」

私の言葉を聞いた途端、エーミールさんは血の気を頬に透かせた。

「お互い恋愛について知りたいのなら、知りたいもの同士で付き合って探り合うのも悪くないんじゃないですか？」
「え、えぇ…？でもそんな急に言われても……」
「…私、自分と同じように、知的欲求に忠実な悪魔の仲間と出会うことが今までなかったんです。だから今ここでエーミールさんと会えたことが凄く嬉しくて…」

やはり初対面でいきなり詰め寄るのは良くなかっただろうか。私は勢いに身を任せてしまったことを今更ながら少し後悔してしまう。
そんな思考が巡る中、握っていた手を緩めたその時だった。突然、私の手の甲から温もりを感じ取ったのだ。見れば今度はエーミールさんが私の手を優しく包み込んでいた。

「ええですよ」
「え…？」
「実は私も、自分と同じような欲を持つ悪魔と出会ったことが無かったんです。きっとこれも何かの縁です。お付き合いして、共に恋愛とは何かを探りましょう」
「ほ、本当に…いいんですか？」
「勿論です」

そう言いながら優しく微笑むエーミールさん。それを見た瞬間、私は何故か心臓をきゅっと掴まれたような心地がした。

「えっと…それじゃあ、これからよろしくお願いします。エーミールさん」
「こちらこそよろしくお願いいたしますね、Aさん」

こうして私とエーミールさんのお付き合いが始まったのであった。
利害の一致のような形で付き合った私達が、いずれ本当の恋を知る日が訪れるのはまた別の話。
.