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ハッと我に返ったときには、私も彼と同じように、勢いに任せて語り尽くしてしまったのだと気づいた。やってしまった、と思う反面、ここまでさらけ出してしまったのなら伝えるチャンスかもしれない。それでもお互いに数秒黙ってしまったその間に、なんとも言えない感情が湧き上がってきては、声を封じた。どうやって紡ぎ出そうか。体感は数分、けれど実際は一瞬のことで、ようやく意識を取り戻した気がしたのは、バビルス特有の重いチャイムの音が鳴ったときだった。それまで二人して、顔を真赤にさせながら目線を合わせては逸らしての繰り返しだった。
「あ……あー、えっと、と、とりあえずずっと教室おるわけにいかんし、一緒に帰らへん……？」
「えっ、い、一緒に！？」
「ええやん、もう。お互い色々と晒しあったようなもんやし……帰りながら、ちゃんと話さへん？きっかけはどうあれ、また話したり、仲良くできたらええなって思ってたし」
「……う、うん。私もまた、おしゃべりできたらいいなっておもってた、から」
「決まりやな！せっかくやったら買い食いもしよーや」
「あ、シャオ、くん。師団のほうはいいの……？」
「ええねん！今戻ったってアイツらからかってくるだけやろうし」
いつの間にか私の呼び方も、昔のように戻ってしまっていた。シャオくん、Aちゃん、と呼び合うだけでも懐かしくって、そして私にとっての大きな一歩だ。
急いで帰宅準備をしている私を、シャオくんは待っていてくれた。まだ顔の赤みは完全に引いていないけど、少しだけ緊張のほぐれた彼の笑顔が、幼少期、迷子になった私の手を引いてくれていた彼の笑顔と重なって見えた。私の大好きな笑顔だ。
帰路についているときに、イメチェンの理由を、私の好きな相手はシャオくんだ、ということ以外を伝えたところ、「そうやったんか」とどこか納得したような表情と、心底ホッとしたような声色のシャオくんがいた。
一歩踏み出すのに勇気が出なくって、その場で怖くなって泣いていた昔の私。
私の指標であり勝手にライバルになった『ナルミィちゃん』。
ちょっとでも変わってよかったって、今なら胸を張って言える。ナルミィちゃんにも、シャオくんにも、近づけた気がするから。よくがんばりました、私。
それから、登下校やクラスの中でも昔のように話すようになって、気持ちがお互い伝わり合うのには、そう時間はかからなかった。
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作者名：!! | 作成日時：2023年5月28日 12時
