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「……そ、そういやなんやけど」
「え？」
「Aちゃんその、い、イメチェンっ、てなんかあったん……？」
ドキリ。心臓がいっそう跳ねた、気がした。まさかここで追求されるとは思っていなかったからだ。自分の机を漁りながら話すトイフェルくんに対して、なぜ？と問うと、「あ〜……な、なんとなく……」と口ごもる。
「実は、いろいろあって……へ、変かな」
「変ちゃうよ！そ、そのっめっちゃ似合っとる！と思う！」
「！……あ、ありがとうっ」
「で、でもそのっ……す、好きなやつの趣味、なんか……？」
その問いには、答えられなかった。いや、答えようとしたけれど、うまく声が出なかったというのが正しい。
図星も図星。あなたのためですなんて、口が裂けても言えない。そんな勇気はない。そんな勇気があればとっくの昔に告白してたもの。
流れた沈黙を肯定と取られてしまったのか、トイフェルくんは私の座っている席の前に立つと、じっと私を見つめてきた。
「ト、トイフェルく」
「た、たしかにめちゃくちゃ可愛くなっとたし、昔みたいに外で遊んでんの見て、懐かしいなぁって思ってたりもしたけど！大先生も『女が変わんのなんて恋やろ』なんて言うし！久しぶりに会って雰囲気変わっとったけどそっちもめっちゃ好きなん、やけ、ど……あﾞ〜〜勢いに任せて言うてもうた……！！」
情けない、恥ずかしい、と本当に頭に思い浮かんだ言葉をそのまま述べてしまったトイフェルくんは、私よりも遥かに真っ赤になってのたうちまわるほど彼のトレードマークのニット帽をくしゃり、ガシガシと掻く。そんなさなか私の頭の中には、昔だとか、久しぶりだとか、好き、だとか。そんなワードがぐるぐると巡っていた。
「なぁ、前みたいに『シャオくん』って呼んでくれへんの？ちっちゃい頃やったから忘れたん？」
「そ、そんな……忘れたことなんてない、けどっ……お、同じクラスになってから、そっけなかったじゃん……！？」
「それはAちゃんめっちゃ大人びとって、その、緊張してたんやって！それなのに急にイメチェンとか、びっくりするやん！」
「こっちのセリフだよ！だ、だってトイっ、シャ、シャオくんっ……シャオくんが『ナルミィちゃんが好き』とか言うからっ、こんなんじゃだめかもって思っ、て……」
「へ、えっ！？なんでそれ知ってん！？てかそれやったら、え？ど、どゆこと……？」
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作者名：!! | 作成日時：2023年5月28日 12時
