近づきたい！/sha ページ25
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「ナルミィちゃんやろ！！元気はつらつ天真爛漫！おでかけして一番楽しいのは絶対この子や！！」
なんて声が談話室から聞こえてきたのは記憶に新しい。
声の主は、トイフェル・シャオロンくん。続いてシャックス・リードくん。レイラー・ウツくん。談話室の扉の向こうから響く声が、通常廊下を歩いているような生徒には聞こえないだろう声が、私には聞こえている。不審者のごとく、扉に耳を当てて聞いてしまったからだ。
なるみぃ、ちゃん。ナルミィちゃん。三人集まってゲームをしているんだろうな、と予測はできるため、すかさずス魔ホで調べる。ゲーム、なるみぃちゃん、キャラ……。そうして出てきた女の子は、たしかにはつらつとしていて、まさしく天真爛漫という言葉がお似合いな女の子。
私とは、正反対。
その場でずっと固まっているわけには行かないので、迅速に移動。私の住処となっている図書室のすみっこ。改めて画面の中の女の子を見ると、まざまざと感じさせられてしまう。自分自身との違いに。
まずこんなに活発に動けない。明るい太陽のような笑顔に、よく通りそうな声。そんな彼女が見せる照れたときの顔。これはプレイヤーの『キュン』を奪い取っていくに違いない。
私はというと、一言で言えば根暗、だろう。丸まってしまった背中に黒く長い髪。ぶ厚めの眼鏡。試験でもそんなに力を発揮できなかったのは緊張しいだから、身体が硬直してしまっていたから。
「…………はぁ」
重い溜息が漏れた。ひっそりと片思いをしている相手のタイプを思いがけない形で知ることになったからだ。いや、盗み聞きしてしまっていたのは私だから、自業自得と言ってしまえばそれまでなんだろうけど。
トイフェルくんは、実は小さい頃にたくさん遊んだことがある。シャオくん、Aちゃんと呼び合っていた。その頃の私は今よりまだ活発で、外で楽しく遊んだりすることが好きな女の子だった。公園で遊んでいたとき、森に入り込んじゃって迷子になって、怖くなって泣き出した私の手を引いてくれたのが、トイフェルくんだ。小さい頃の、些細な思い出。私の初恋。
公園で遊ばなくなってからあまり会うこともなくなっちゃっていたけど、まさかバビルスで会えるなんて。覚えているのは、私だけだと思うけど。
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作者名：!! | 作成日時：2023年5月28日 12時
