・ ページ21
.
私、Aには友人たちには言えない秘密がある
それは私が実は超絶"陰キャ"であるという事だ
入学式の日、コミュ障な私は新たな出会いというものに震えあがっていた
あまりの恐怖故に別人格に全てを丸投げしたのが運の尽き、その日のうちに陽キャコミュニティを築いた人格はクラスの中心人物になり果てていた
…それから1年―
『…何で、こんな事に…』
膝を抱えて部屋の隅に置かれた段ボールの陰に私は隠れていた
花粉症のせいでくしゃみをした途端に
こんなおどおどした姿を友人たちに見られるわけにはいかない
具合が悪いからと保健室へ行くフリをして空き教室へと駆け込んだ
しばらくここで時間をつぶし、生徒が少なくなった頃にこっそり帰ろう
…そう思っていたのに
隠れるために入った部屋で、まさかクラスメイトが何か始めるとは思いもしなかった
これではここから動けない、どうしたものかとそのクラスメイトを眺める
彼は確かピクトくん…だったかな？そう考えて首を傾げる
今の明るくパフォーマンスを繰り広げる彼がいつもの様子と違って見えたからだ
(ピクトくんって…いつも静かに本読んでるイメージなんだけどな…)
本来の自分と同じ気配を感じて、関わりは一切なかったが勝手にシンパシーを感じていたのに…気のせいだったのかな
盛り上がるみんなを見て、余計に遣る瀬無さが襲ってくる
しばらくすると彼のパフォーマンスは終了したのか、集まっていた生徒たちは散り散りに帰っていく
(よかった、もう少ししたら帰れる…)
そう思った時だった
「はあぁぁ…し、しんど〜〜;;」
『…え』
先程まで浮かべていた笑顔が一瞬で消え、疲労を滲ませた表情で大きな溜息を吐いた
ブツブツと愚痴を零しながら片づけをする彼は、どこか私と同じ気配がした
そのまま彼はこちらに近づいてきて…
(…!え、やば)
「…え」
隠れていた段ボールを持ち上げられ、彼と、目が合ったのだ
――…
『はぁ…ピクトくんが了承してくれて助かったぁ』
悪魔目を避けて帰路につきながら安堵の息を零す
彼は約束を破るようなには悪魔には見えなかった…と思う
どうしてそんな風に思ってしまうのか…やはり、彼には何か近いものを感じているのだ
もし、いつもの姿が彼の素なら…
『
次、また、タイミングがあったら話してみよう
そう決意して、私は帰路を急いだ
.
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 36人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：!! | 作成日時：2023年5月28日 12時
