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「おお、効果抜群じゃん？声ちっさ」
「…うるせ……」
「はは、オモロ」
絡めていた尾を解いて代わりに彼の頭をヨシヨシと撫でる。角は嫌がる悪魔もいるのでそれを避けて…であるが。すっかり級友に弄ばれている彼への慰めと、お口チャックができて偉い、の意味でその撫でやすい頭を撫でくりまわす。これがまたなかなか撫で甲斐のある頭と髪質なのだ。
────犬のようで。
そう、例えるならば……
近頃愛玩犬として人気なあの存在だ。
コロッと丸くて、ふわふわで、つい撫でてしまうようなシルエット。
「なんで俺……こんな扱いになったんだろ…もっと、こうさぁ…男として…」
尻すぼみに何かブツブツと呟く彼をどこか満たされた気持ちで見つめていた。チラリとこちらを見て目が合っては音がつきそうなほどの勢いで目が泳ぐ。思わず笑えば声にならない叫び声が私をまた楽しませてくれる。
「ねぇAさん、俺だけにしてね？こういうのさ」
『ペイントくんくらいしか黙らせる用途で呼ばれる事ないから大丈夫だよ？』
「それは俺喜んでいいのかな？？？？」
「お、公認だ！良かったなペイント！」
「ちが、なんかちがう！！！」
心外です！と言わんばかりに手を白むほど握りしめている彼はクラスメイトの潤滑油のようだ。彼の周りはいつも明るい。根暗と言われた私を巻き込んだ過去のように。
『嫌だった？』
「嫌……って言うか、あ、嫌じゃないよ！？嫌じゃないんだけど…俺はこう、もっとさ好きな物とか苦手なものとか、最近の曲とかさ、そういう…普通のお喋りしたいなって」
ずっと、思ってて。
言い直して、言い換えて。周りにやんややんやと煽られながら必死に紡ぐペイントくんに返事をしあぐねて、喉に詰まった言葉にそこで初めて自分が動揺していることに気がついた。
やはり私も悪魔の端くれなのだろうか、彼がこうも素直に反応を示してくれるのが嬉しくて、楽しくて。不思議と、悪くないような気がするのだ。
『…そういうのって、どうしたらいいのかな。お昼ご飯、一緒に食べるとか……？』
「ｴｯｯｯ！！！いいの！？！？！？」
「おい0か100しかないのかペイント！！｣
……、やっぱり声量で窓ガラスを割るのは家系能力なのではないだろうか。慌てて耳を塞ぐ私と、口を塞ぎ慌てふためく彼と、怒るクラスメイト。
────照れた彼に腕を引かれ教室から飛び出るまで、あと数秒。
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作者名：!! | 作成日時：2023年5月28日 12時
