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「え?ああ、はい…!自己紹介が遅れてしまってすみません。私はエーミールと申します」
「エーミールさん!貴方ってもしかしてサバトマスターの方ですか!?」
「ま、まあ…ここら辺だとそう呼ばれとるみたいやけど……」
彼は苦笑いを浮かべながらそう答える。確信を得た私はニヤリと笑った。向こう側から来てくれるなんてラッキーだ。
こんな千載一遇のチャンスを逃すわけにはいかない。私は必ずこの悪魔ともっと接触して恋愛とは何たるかを知るんだ…!
「あの、Aと申します!私、ずっとエーミールさんとお会いしたかったんです!」
「えぇ!?」
「良ければ一緒にあちらの席でお話ししませんか?」
「は、はい…勿論構いませんよ…?」
「へぇ、エーミールさんって悪魔学校に通ってるんですね!まさかこんな所で先輩にお会いできるなんてびっくりです」
「私も驚きました。こんな偶然あるんですね」
「凄いですよねー」
「ですねー」
「………」
「………」
しまった。会話が止まってしまった。このままだと空気が気まずくなってサバトマスターを逃してしまうかもしれない。
どうしようかと思っていたその時、エーミールさんは近くにいた今回のサバトの主催者を呼び出して彼とコソコソと何かを話しだした。たまたま聞こえてしまったのだが、その内容は耳を疑うものだった。
「あの子にどんな質問したらいいと思う…?」
サバトの主催者の男性もそれを聞いて困惑した表情をしている。どうやら聞き間違いでは無いようだ。
エーミールさんは主催者と一言二言やりとりをした後、再び私に向き直った。
「えっと、趣味はなんですか…?」
おそらく主催者にアドバイスしてもらったのだろう。そんな質問を投げられた。
この人、サバトマスターって呼ばれるくらいだからそう言う話術にも長けてると思っていたんだけど…
「趣味…ですか。本を読むことですかね?」
「読書ですか!どんなジャンルの本を読むんですか?」
「ジャンルに拘りがないので漫画から学術的なものまで色々読んでいます。そもそも私、知らないことを知るのが好きなんです。この街サバトに参加したのも新たなことを知る為でしたし…」
「新たなこと…?」
エーミールさんはキョトンとした表情を浮かべた。
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作者名:!! | 作成日時:2023年5月28日 12時