二人寄っても文殊の知恵…？/em ページ1
昔から、まだ知らないことを自分で経験して知ることが大好きだった。だから学校の成績は常に上位だったし、知っている雑学もそれなりに多い。
しかしどんなに探っても、未だ実際に体験できていないものがあった。それが恋愛だ。
恋愛とは何か。その答えを求めて私はとうとうこの場所に辿り着いたのである！
「ここが街サバトの会場…！」
身なりは完璧だ。この日のために可愛いワンピースを用意したのだ。
私は恐る恐る会場内へと足を踏み入れた。緊張はするものの、新たな発見への期待で胸が高鳴る。
今日は街サバト界隈では有名なサバトマスター？という悪魔が参加しているという噂だ。どうせなら大物と接触していい経験をしなければ！
「えっと、とりあえずお腹すいたから何か食べるものを…」
確かこの会場の食事はバイキング形式だったはず。そう思いどこに食べ物があるのか周囲を見渡していると、「すみません」と突然背後から声をかけられた。
その悪魔はミルクティー色の髪を七三分けにしており、ベストをきっちりと着こなしていてとても綺麗だ。
「食べ物をお探しですか？」
「え？あ、はい…。到着早々お腹空いちゃって」
「ああ、それなら…」
料理のある場所まで案内してくれるのだろうか。そう期待していた次の瞬間だった。
「魔バナナ食べます？」
「……えっ？」
彼はポケットから何故か出てきた魔バナナを私に差し出してきた。硬直している私を見た彼は、慌てて再びポケットに手を突っ込んで小さな袋に入ったとある菓子を渡してくる。
「あ、それともデビスコの方が良かったですか？」
「いやそうじゃなくて！普通こういう時は食べ物ある場所に案内しません？」
「…！そ、そうでしたね！ああ…またやってもうた……」
目の前の彼は少ししょんぼりとした様子をしている。ふと私は、そんな彼の服に貼られた名札に目がいく。そこには「Emile」と書かれており、その名前にはどこか聞き覚えがあったような気がした。
「エーミール…さん？」
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作者名：!! | 作成日時：2023年5月28日 12時
