【続】あいしてください【zm】 (ページ42)

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玖拾(くじゅう) ページ42

「それでは皆さん、かんぱーーい！！」

｢｢｢乾杯！！｣｣｣

大先生の声の後、あちらこちらからガラスのぶつかる音が聞こえる。
トントンさんに促されて、私も皆さんとグラスを合わせた。

包囲戦を無事成功させ、ディオスを敗北に追い込んだ我々は、人のいいシノアの首相から泣きながら頭を下げられ、そしてかなり大きめの領地を頂いた。

ゾムは未だ目を覚ましていないが、しんぺい神の手腕により一命を取り留めた。
安堵の息を吐いた幹部達は、ゾムには悪いが兵士達の労いもあるので先に祝宴を開こうという事で、現在進行形で食堂でバカ騒ぎが起こされているのだ。

「Aちゃん飲んどるか～～？！」
『あ、いえ。あまりお酒は得意じゃないので。』

始まってすぐなのに何故かもう出来上がっているシャオロンさんが近寄ってくる。
笑ってそう返すと、もっと飲めやぁ～！とちょっとしか減っていないグラスにお酒を注がれた。
呆れたトントンさんがシャオロンさんをしばいているのを笑いながら見つめていると、前に座っていたショッピさんが控えめに声を上げた。

「ゾムさんの事、心配っすか？」

的を射た言葉に返す言葉が見つからなくて苦笑いで返すと、今度はシャオロンさんを他所へ追いやったトントンさんが口を開いた。

「Aちゃん、昨日今日とあんまり寝れてないやろ。
あんまり思い詰めんなや？ゾムちゃんと生きてるんやし。」

優しそうな笑顔のトントンさんに、ありがとうございます、と言おうと口を開いたのだが、しかし元気な声が割り込んできた。

「ほんっまにAちゃんゾムの事大すっきやなぁ！！」

満面の笑みのシャオロンさんに、からかいだと分かっていながらも顔に熱が溜まるのを感じる。
それに気づいたショッピさんが、ぽかんと口を開けていた。

「……え」
「うっわシャオロン戻ってきやがった。
ごめんなAちゃん、こいつの事はあんまり気にすんな……って、え、Aちゃん？」
『あっ、あ、いや、あの』

言い訳をしようとパクパク口を開けるも、頭が真っ白になって何も出てこない。
みるみる顔が蒸発するかのように熱くなって、行き場を失った私はとうとう机に突っ伏した。

「うえええええ！？！自覚したん？！自覚したんか！！？」
「え、ちょ、何かあったんすか！！何があったんすか！！？」
「おい皆集まれ！！Aちゃんがやっと恋心自覚したぞ！！！」
『トントンさんほんとにやめてください！！！』

騒がしい夜はまだ終わらない。