【続】あいしてください【zm】 (ページ17)

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陸拾陸(ろくじゅうろく) ページ17

Aの言った通りだ、と基地にいながら各幹部へと指示や様子を映像越しに伝えていたロボロは思う。

レティ国は、かなりの攻撃力を持った我々軍の特攻部隊を軽々と防ぐと、そこからは両者拮抗した戦いが始まった。

しかし電撃戦という速い攻防の為か、相手は焦りを感じたのだろう、簡単に罠にかかってくれた。

包囲と共に多少崩れた戦線に突撃すると、いとも容易く守りは崩れ、あっという間に首都が没落した。

ふう、と椅子の背もたれに寄りかかると、ピピ、と言う音と共に通信機を作動させる。

「皆、お疲れ様ぁ。」

反応した各々から終わった～、疲れた～、といったいつもより高めの声が聞こえて、もう一度お疲れ、と笑う。

しかし、聞こえている筈の律儀な彼女からは返答がこず、大丈夫かなぁ、と不安になり、パソコンをカタカタといじる。
通信機に埋め込まれたGPSを確認すると、Aとゾムが2人で居るという反応があって、そっとその画面を閉じた。

＊

「落ち着いた？」

上から優しい声が降ってくる。

彼に抱き締められながらみっともなく泣いてしまった私は、恥ずかしくて顔を上げることができず、そのままコクリと頷いた。

「ん、そか。」

彼はゆっくりと腕を離すと、私の頭をぽんぽん、と優しく撫でた。

『……ごめん、みっともなかったね。』
「ふは、ええんよ、珍しいAが見れたし。
Aはもっと甘えてええと思うで？」

私は思わずふは、と吹き出すと、困ったような笑みを浮かべた。

『私、もう充分甘えてるよ！』

ゾムはぽけ、とした顔をすると、んはははは！と笑った。

「だから、もっとやって！」
『もっと？』
「もっともっと！」
『私、もっと甘えたら人として駄目になっちゃうよ。』

そう言って顔を見合わすと、ぷ、と2人して笑った。

「さて、そろそろ最後のお仕事行きますか。」
『うん、そうだね。』

それまでより何倍も晴れた顔をしたAを、ゾムは微笑みながら見つめていた。