【続】あいしてください【zm】 (ページ13)

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陸拾弐(ろくじゅうに) ページ13

「別にこれからどうこうしてほしい訳でもないですし、"特別感"を理解しろとも言いません。
ただ、俺らからはそう見えているって事を何となく覚えといてくれたらいいんじゃないっすかね。」

だんだんとぶっきらぼうに、最後には顔をぷい、と背けたショッピに少し唖然とする。
人の事なんて興味ないようなポーカーフェイスを装いながらも、きっとどこか人が好きで、人のことをよく見ている。
あ～キャラじゃないことした、とボヤく彼に、ふふ、と笑った。

『お母さんみたい。』
「うるさいですよ。」
『ショッピさんは優しいですね。』
「Aさんには適わないっすよ？」
『そうですか？』
「そうです。」

2人で顔を見合わせて、ぷ、と吹き出した。

＊

「おーい、A、おる？」

部屋に帰ってすぐ、ドアがコンコンコン、とノックされ、聞こえてきたのは久しぶりに聞く兄さんの声だった。

『はーい、ちょっとまってくださ』

久しぶりの人物にきもち声色の上がった言葉は、ガチャ、という音で途切れる。

『あ』
「あ」

兄さんの、普段はクールで端正な顔が真っ赤に染まる。

そう、端的に言ってしまうと、私は着替え途中だったのだ。

下はズボンを履いていたので良かったが、上はワイシャツを脱ぐ途中だったのために下着が丸見えだったらしい(後の兄さん談)。

あれ、とその場にそぐわず楽観的な思考が動く。
そう言えば、兄さんに私の性別ちゃんと言っていなかったんじゃ無かったか？

ふわふわと考え出した私をよそに、兄さんは顔を全力で逸らして、

「す、すまん！！！」

と、そんな大声出たの？という声量で叫んだかと思えばドアをガチャンと閉めた。

急に静まり返った自分の部屋に、私は『あ、はい。』と緊張感なく呟くと、さてどうやって謝罪しようかと考えをゆっくり回しながらそそくさと着替えた。

この後死ぬほど土下座してきた兄さんを、腹を抱えながら大声でコネシマとシャオロンが笑い、「え、Aちゃんて胸結構あるん？」と聞いてきた大先生をトントン命令のもとゾムが締め上げるのはまた別の話。