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依頼人が行方知らずになってしまった。
ただ、無事なことを祈るしかないのだろうか…
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重い空気の中、蘭は自身の靴先を見ながらゆっくり歩を進めていた。
……そりゃあ、雅美さんが心配だよね。
「雅美さん…せっかく…せっかくお父さんに会えたのに…それなのにこんなのって…ひどすぎるよ〜〜」
『蘭。まだ分からないよ…ただ連れ去られてしまっただけかもでしょ?』
「まあ、警察も捜してくれるそうだから、そんなに悲観するな…」
心配で、不安で。でも、だからこそ私たちは無事を信じて、願うだけなんだ。
それに、私は諦めてない。
雅美さんをきっと見つける……と言い切りたいところだけど、それは今の段階、ちょっと難しい。
なんたって、手がかりが無いのだから。
「あ〜〜〜〜〜〜っ!!!」
「え?」
『?』
「あははのは!!」
「…………」
突然江戸川君が大きな声で叫んだ。
驚いて振り返るも、照れたように笑う彼にそう大事では無いと考えた。
前を向くと、控えめに服の裾を引かれた。
なんだか、懐かしい感覚だ。
「A姉ちゃん……」
『…ごめん、小五郎さん、蘭。ちょっと行きたいところあるから先に帰っててもらえる?』
「え、ちょ」
『じゃあ、江戸川君と行ってくるね〜!なるべく早く帰るから!!』
小さな手を握って反対方向に駆け出す。
二人の姿が見えなくなった所で江戸川君の話を聞くことにした。
「あのね、雅美さんのことで行きたい場所があって」
『分かった。その場所まで連れてってくれる?』
「ま、任せて!」
江戸川君に手を引かれて、走る。
この先にあるのは……新宿かな?
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『えっと……ここ、かな?』
「はあ、はあ……うん」
目の前にはパチンコ屋さん。
こんな所に雅美さんがいるのかな、と疑問に思う。それでも、江戸川君が何も無くてここに来る訳がない。
『入ってみようか。……手、離さないでね』
「う、ん」
すまし顔で入店。
キョロキョロと辺りを見回しながら歩いていると、前から来た人と肩がぶつかってしまった。
「チッ…ガキ共がうろうろしてんじゃねー…」
『す、すみません』
背の高い屈強な男の人。
江戸川君を背中に隠して謝ると、もう一度舌打ちを残してその人は去っていった。
それから雅美さんの姿をくまなく捜したけれど、一向に見つかなかった。
…
たまに超カッコいい
…
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作者名:すずな | 作成日時:2022年4月18日 19時