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私はこの日、毛利探偵事務所に緊急招集された。
忘れる訳が無い、夕焼けが綺麗な日だった。



「お願いします、探偵さん!!わたしの父を捜してください!!」



前髪を左右に分けてピンで留めているおさげの女の子。
彼女は必死の形相で声を出した。



「は…はい…」


「東京に出稼ぎに来てた父が、この一か月間行方不明なんです…
働いてたタクシー会社も辞めてしまっていて…警察にも捜してもらったんですが、全然見つからなくて…」


『なるほど……警察にも取り合って貰えなかったから、この事務所に頼み込みに…』

「ハイ…高校を休んで山形から捜しに出てきたんです…もう探偵さんしか、頼む人がいないんです!!」

「わかりました…ひきうけましょう!!」



胸を張って答えた小五郎さん。
その様子に安堵した彼女は、一枚の写真を何処からか取り出した。

そこには、一人の穏やかそうなおじさんが笑顔で写っていた。その腕の中では一匹の黒猫が今にも尻尾が揺れそうなくらい上機嫌に見えた。



「これが、父の広田健三(ひろたけんぞう)です…身長は一七〇cm、年齢は四十八歳です…」


『この猫ちゃんの名前はご存知ですか?』

「は、はい…それは父が飼っている猫で、名前は「カイ」です…
父は猫好きで、ほかにも「テイ」と「ゴウ」と「オウ」の三匹を飼っています…」


「なるほど…猫と暮らしていた訳ですな…」



そこからは、彼女の父のクセやら性格を小五郎さんが聞き出すターンに入った。
 
暇だから……と、蘭がお茶を淹れるのを手伝うことにする。
完成したそれらを蘭が運んだ。

「どうぞ」、の一言と笑顔で彼女にお茶を差し出す蘭を後ろから眺めていると、不意に江戸川君が右手の人差し指で蘭の服に触れようとしていた。



『ん?江戸川君、なにしようと…』
「!……うわわっ」



___ドッ
覗き込もうと後ろから声を掛ければ、江戸川君は手足をバタバタしながら前のめりに倒れ込んでしまった。
依頼人の彼女に覆い被さる形に。



『わっ、ごめんねぇ……ほら、江戸川君おいで』

「へっ……ぅえ!?」



脇の下に手を差し込んで江戸川君を抱き上げる。
彼は私の腕の中で借りてきた猫のように丸まった。





同年代の女の子も好き

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作者名:すずな | 作成日時:2022年4月18日 19時

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