年の近い同居人2 ページ6
工藤新一には年の近い、二人の同居人がいる。
一人は3つ上の青年。江戸川コナン。
一人は1つ下の少女。江戸川アンナ。
彼らは兄妹で、兄であるコナンはアメリカの大学に在籍中らしく、妹のアンナは同じくアメリカの中学を卒業したらしい。
らしい、というのも自分は彼らについておよそ全くといっていいほど何も知らない。
ある日突然、両親からの説明もほとんどなしに現れた二人に、最初こそせっかくの一人暮らしが台無しだと出鼻を挫かれるような思いだったが、いざ一緒に暮らしてみると、彼らはまるで最初からそこにいたかのように工藤邸の空気に馴染んだ。
黒い髪と青い瞳。ちょうど同じくらいの背丈の江戸川コナンと名乗る青年は、眼鏡を外せば自分と瓜二つという異様な人物だった。
けれど、いや、だからというべきだろうか。彼とは、おそろしく馬が合う。
工藤新一という人間を知り尽くしているかのような言動に加え、互いの好き嫌いの一致具合や、俺と同じくらいの、いやそれ以上の頭脳を持っていたり、さらには重度のシャーロキアンであるらしい彼。
好感度は下がるどころか上がる一方で、自分に兄がいたらこんな人だったのだろうと、そんな想像をしてしまう。
一方、彼と同じく黒い髪と青い瞳の、人懐こい少女、江戸川アンナは、彼や自分とは何も似ているところがない。むしろ真逆と言えるかもしれなかった。
似たような容姿をしているわけでもなければ、料理ができるわりに勉強はそこそこで、彼や自分のような重度のシャーロキアンでもない。
ところが、そんなところが工藤新一の母である工藤有希子にそっくりなのだ。
美人で、料理上手で、心配性。いたずらも好きで、どこかお茶目で子供っぽいところが実に魅力出来である。
だから、工藤新一には自分の兄や妹のようでありながら、父や母のようでもある同居人がいるのだ。
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作者名:コトハ | 作者ホームページ:
作成日時:2016年10月26日 22時