きっと未来を紡ぐ2 ページ43
そこにいたのは眠る前に出会ったあの、コナンと名乗る少年だ。
自分と同じ、あの薬を飲んだ少年。
「こんにちは」柔らかな瞳が、なぜか懐かしいものを見るように、眩しそうに揺らめいた。
「気分はどう? あの薬、身体中が痛くなるんだよな。熱くて骨が溶けるみたいな」
大丈夫ですか? と小首を傾げた。
「……」
眉を顰める。なぜ、薬のことを知っている? それに、いやに私よりも詳しそうだ。どうして。
「俺も飲んだから。それだけです」
目を伏せて、少しだけ口元を緩ませた。
「……あの薬が、どういうものか知ってて言ってるの」
「効果だけは。成分とかは知らないですよ」
時々取ってつけたような敬語で話す彼に引っかかりを覚えるものの、気にしていては話が進まない。きっと彼が、私のことを知っているとしても。
不躾にもじろりと少年を見つめる。
少し体の弱そうに見えるが、それ以外は至って普通の、どこにでもいるような少年だ。しかし私と同じというのであれば、この見た目通りの少年ではないはずで。
「……あなた、何歳だったの」
「20歳」
「……そう」
思ったよりも年齢が高かった。いや、この落ち着きようだ。それならばと合点もいくものがある。
この少年――あるいは青年――はこの状況を受け入れきっている。彼が変化したのも。私がこうなってしまったのも。
「どうして、薬を飲んだの? あれはまだ外に持ち出されていないはずなんだけど」
唇が震える。この少年からは組織の人たちのような薄暗くおぞましい雰囲気は感じない。きっと組織の人間ではないのだろう。むしろ、もっと、別の。
「あいつらが何かしらの取引をしているところを目撃して。その時にバレて飲まされたのがあの薬だった。だから組織の奴らは俺が死んだと思ってるはずだ」
ぐっと喉がつまる。それはつまり、彼は組織にとってのイレギュラーだ。しかも、とても厄介で恐ろしい。
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作者名:コトハ | 作者ホームページ:
作成日時:2016年10月26日 22時