逆行した少年とトリップした少女について (ページ34)

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その炎の熱さを知らない 3 ページ34

本当なら二人には新一のところへ寄越さずにここにいて欲しいと思う。だが二人は日本に行かなくてはいけないと口を揃えてこちらを説き伏せる。曰く、新一を危険な目に合わせないために。

危険とは具体的にどのようなものなのかと問うと、世界的な組織に命を狙われるのだと言う。
もしこの二人が新一のところにいかなければ、探偵を目指し危なっかしくも事件のあるところへ足を突っ込む息子のことだ。おそらく本当にそういう目に遭うのも、まあ予想できる。

だからこそこの二人を新一の元へ行かせることを約束したのだが、それは新一の代わりにこの二人を危険な目に合わせるということの裏返しでもある。なんて、酷なことだろうか。
そんな私の気も知らず、二人は心配してくれてありがとうなどと言うだからやるせない。

「分かった。そういうことなら、私も支援をしよう。とりあえず私の使ってた医学書でも読むかい？」

これは、愛息子のためだと割り切って重い腰をあげる。
願わくば、彼らの言っていた未来が訪れないことを。『息子』が『彼ら』の休める場所になってくれることを。願わくば。

「――……聞いてんのかよ、親父」
「ああ、聞いてるとも。くれぐれも二人に迷惑をかけるんじゃないぞ」
「へいへい」