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話しをしよう5 ページ15
「……両親は？」
気遣うような目だった。
踏み込んだことを聞いていることを、分かっている。それでも聞いておかなくてはならない。
そんな目だった。
「……亡くなりました。私が2歳ごろだったと聞いています。私は、そのとき祖母の家にいて、両親は……パパとママは、私を迎えに行くところだったらしいです」
ペットボトルの中の水が波を打っている。
ゆらゆらと揺れて、ちゃぷんと音を立てた。
「じゃあ、お前は両親のことを知らないのか」
「はい。私が知っているパパとママは、おばあちゃんの言葉の中にいます」
そうかと新一さんは言った。それだけだった。
それからはどちらとも喋ることはなかった。時々、何か思いついたように新一さんが口を開いたが、言葉は出てこなかった。
ふと見た窓の外、東の空が白んで朝の訪れを告げていた。
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作者名：コトハ | 作者ホームページ：
作成日時：2016年10月26日 22時
