話しをしよう4 ページ14
動けそうにない私に、新一さん――工藤さんと呼んだら名前で呼ぶように言われた――は物陰に隠れているように指示をした。
それに従い、私は近くにあった室外機の陰に、隠れるようにうずくまった。新一さんはそれを見届けると、待っていろと残し、どこかへ行ってしまった。
何分か経って、新一さんが戻ってきた。どうやらここが米花町(自分が住んでいた場所)だと知り、親である工藤優作先生に連絡を取っていたらしい。
今の自分たちの状況を話せば、工藤先生の提案で、早くて今日中にアメリカに行くことになったと説明を受けた。
英語は話せるかと聞かれ、頷く。
外では日本語を喋っていたけれど、家の中、祖母との会話は英語かロシア語だったから苦なく喋れると言えば、それは良かったと新一さんは笑った。
程なくして、スーツ姿にサングラスといういかにも怪しげな男性がやってきた。工藤先生の知り合いだという彼らに従い、黒塗りの高級そうな車に乗せられ、空港へと向かった。
「お前のことを教えてくれ」
空港へ向かう道中、新一さんがミネラルウォーターを私に差し出しながら、話しかける。
「私のこと?」
「そう、お前のこと。なんでもいい。名前はさっき聞いたから、年齢とか誕生日、血液型、家族構成、好き嫌い、エトセトラ。……話せることはなんでも」
「……15歳です。中学三年生。もう少しで卒業でした。誕生日は4月20日で、血液型はA型。家族構成は祖母と私の2人です」
一度、言葉を区切って水を飲む。
「好きなものは、おばあちゃんが作ったお漬物で、嫌いなのはきのこ料理。ほかには、えっと……新一さんが知りたいことを訊いてください。答えますから」
私の言葉に、新一さんはそうだなと呟いて、じゃあと私を見据える。
「話せる言語は日本語と、英語と、ロシア語だけ?」
「はい」
「どんなところに住んでた?」
「東北の方に。田んぼばっかりで、大きなスーパーとかコンビニも近くにないような田舎ですけど」
「スポーツは何かやってる?」
「いえ。体を動かすのは好きですけど、特にこれといって打ち込んでるものは」
「学校で成績はどれくらいだった?」
「良くも悪くもないです。でもまあ、生徒が少ないので、都会の学校とかでは全然下の方かもしれません」
「好きな教科と、苦手な教科は?」
「そうですね、世界史はわりと好きです。苦手なのは理数系ですね。何が何だかさっぱり」
たははと笑えば、おいおいと呆れたように苦笑いをされた。
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作者名:コトハ | 作者ホームページ:
作成日時:2016年10月26日 22時