検索窓
今日:7 hit、昨日:11 hit、合計:11,352 hit

話しをしよう4 ページ14

動けそうにない私に、新一さん――工藤さんと呼んだら名前で呼ぶように言われた――は物陰に隠れているように指示をした。
それに従い、私は近くにあった室外機の陰に、隠れるようにうずくまった。新一さんはそれを見届けると、待っていろと残し、どこかへ行ってしまった。

何分か経って、新一さんが戻ってきた。どうやらここが米花町(自分が住んでいた場所)だと知り、親である工藤優作先生に連絡を取っていたらしい。
今の自分たちの状況を話せば、工藤先生の提案で、早くて今日中にアメリカに行くことになったと説明を受けた。

英語は話せるかと聞かれ、頷く。
外では日本語を喋っていたけれど、家の中、祖母との会話は英語かロシア語だったから苦なく喋れると言えば、それは良かったと新一さんは笑った。

程なくして、スーツ姿にサングラスといういかにも怪しげな男性がやってきた。工藤先生の知り合いだという彼らに従い、黒塗りの高級そうな車に乗せられ、空港へと向かった。

「お前のことを教えてくれ」

空港へ向かう道中、新一さんがミネラルウォーターを私に差し出しながら、話しかける。

「私のこと?」
「そう、お前のこと。なんでもいい。名前はさっき聞いたから、年齢とか誕生日、血液型、家族構成、好き嫌い、エトセトラ。……話せることはなんでも」
「……15歳です。中学三年生。もう少しで卒業でした。誕生日は4月20日で、血液型はA型。家族構成は祖母と私の2人です」

一度、言葉を区切って水を飲む。

「好きなものは、おばあちゃんが作ったお漬物で、嫌いなのはきのこ料理。ほかには、えっと……新一さんが知りたいことを訊いてください。答えますから」

私の言葉に、新一さんはそうだなと呟いて、じゃあと私を見据える。

「話せる言語は日本語と、英語と、ロシア語だけ?」
「はい」
「どんなところに住んでた?」
「東北の方に。田んぼばっかりで、大きなスーパーとかコンビニも近くにないような田舎ですけど」

「スポーツは何かやってる?」
「いえ。体を動かすのは好きですけど、特にこれといって打ち込んでるものは」

「学校で成績はどれくらいだった?」
「良くも悪くもないです。でもまあ、生徒が少ないので、都会の学校とかでは全然下の方かもしれません」

「好きな教科と、苦手な教科は?」
「そうですね、世界史はわりと好きです。苦手なのは理数系ですね。何が何だかさっぱり」

たははと笑えば、おいおいと呆れたように苦笑いをされた。

話しをしよう5→←話しをしよう3



目次へ作品を作る感想を書く
他の作品を探す

おもしろ度を投票
( ← 頑張って!面白い!→ )

点数: 8.9/10 (10 票)

この小説をお気に入り追加 (しおり) 登録すれば後で更新された順に見れます
12人がお気に入り
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告

感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)

ニックネーム: 感想:  ログイン

作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ

作者名:コトハ | 作者ホームページ:   
作成日時:2016年10月26日 22時

パスワード: (注) 他の人が作った物への荒らし行為は犯罪です。
発覚した場合、即刻通報します。