そんなことで 〜Bourbon Side〜 ページ20
「そんなことで 諦められるなら、
初めから貴女を愛したりなんかしないっ！」
彼女は言葉を失い、目を見開くばかりだ。
「解らないだろう？ 僕がどんな想いで居たのか、
貴女が組織の人間だと知っていても、正体を知った後も、
惹かれずには居られなかったんだよ！！！」
彼女は咄嗟に顔を背けようとする。
「僕の為にならない？ 笑わせるなよ。それは俺が決めることだ。
俺にとって為にならないのは、貴女を失う事だ。」
『私？』
「ずっと考えていたよ。俺の存在は貴女を傷つけて、苦しめているだけなんじゃないかって」
貴女が辛い想いをするのが、もう嫌になったというのなら、
俺は身が裂けるような思いをしてでも、この恋を諦めるつもりだった。
それなのに貴女という人は、
酷い
この想いを諦めさせてはくれないらしい。
『れい、さ』
俺の為だというのなら、話は別だ。
そんな事を認めるつもりはない。
悪いとは思っているよ。
身勝手で我儘だと自分でも思う。
それでも、
俺という男は貴女を愛さずにはいられないのだ。
貴女が傷付くことになると解っていても、
貴女の立場を悪くするかもしれないと思っても、
例え貴女が目の前から去ったとしても、
他の誰かにこんな想いを抱けるとは到底思えないのだ。
「僕は貴女をあいつへの対抗心で愛した訳じゃない。
憎んでくれたっていい。罵ってもいい。
貴女が誰だろうと、どう思おうと、その心なら全て受け止める覚悟だ。」
初めてのことだった。
今まで何とも思わなかったのに、
自身の使命を第一に考え、疎かにすることは出来ないこの身の上を、
恋など許されない立場で、場所で出逢い、惹かれ合ってしまった不条理を恨んだ。
でも、それ以上にこの身は喜びに震えていたのだ。
貴女がこの愛に応えてくれたこと、
そして貴女も身を尽くして愛してくれたことに、
だとすれば答えはもう決まっている。
この愛が諦められないのなら、自身の全てをかけてこの人を守り抜こう。
漆黒の闇からも、地獄の底からでも這い上がってみせよう。
それが貴女への愛だ。
それが罪だというなら、裁くがいい。
この恋に目を背けることなど出来ないのだから。
ジヴァニアの止め→←愛と憎しみの葛藤 ~Bourbon Side~
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作者名：Detective A | 作成日時：2018年5月1日 0時
