愛と憎しみの葛藤 ~Bourbon Side~ ページ19
「どうして僕に何も言ってくれなかった?」
責めたい訳ではなかった。
自分が言えたことでないのは解っている。
何よりこの
こうして今も聞き出すことで苦しめているのだろう。
それでも、知りたい。
彼女が何故、僕から離れようとするのかを、
『貴方のせいじゃないもの。私の罪なのよ。』
「罪?」
貴女に何の罪があるというのだろう?
もし、あるとするなら
一切の情もなく僕を利用し尽くしてくれなかったことくらいか?
『そう。誰の為にもならないわ。』
それは貴女の為にもならないということか?
貴女の為にならないと言うなら、この想いは断ち切ろう。
『これで良いのよ。私は貴方の憎い相手に忠誠を誓った女。
それは誰にも変えられないし、変えるつもりもないの。』
知っていた。
誰が言っても、それは変わらないのだろう。
例え僕が言ったとしても、
むしろ失望して去っていくだろう。
解っていた。
それがどんなに悔しかったか。
あの男がどんなに妬ましかったか。
でも、そうでなければ、
僕達は出逢うことはなかっただろう。
貴女に惹かれることもなかっただろう。
『私が憎いでしょう? いっそ憎んでよ。』
そう出来たら、どんなに楽だっただろうか。
『貴方を愛していると言いながら、結局私はあの人から離れられないもの。』
それなら何故、
どうして僕を愛してくれた?
どうしてこの愛に応えてくれた?
貴女がただの組織の構成員だったなら、
FBIとして僕を利用していただけだったなら、
陰で蔑み、敵意だけを向け続けていたのなら、
どんなにこの情が捨て難くても、その全てをかなぐり捨てて、
奴の部下として、
FBIの人間として、
徹底的に利用し尽くして、憎みたいだけ憎んで居られたのに、
「そんな」
声が上擦りそうになる。
「そんな、ことで」
そんなことで 〜Bourbon Side〜→←愛と憎しみの葛藤
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作者名:Detective A | 作成日時:2018年5月1日 0時