Femme fatale (ファム・ファタール) ページ14
『零さん。.....』
すぐに銃を降ろす。
「春香さん」
来ないで欲しかったのに、
二度と会いたくなかったはずなのに、
そんな想いとは裏腹に貴方に逢えたことが嬉しかった。
「想いは同じだと思ってもいいかい?」
『・・・・・・ええ、』
貴方の心に嘘は付けない。
いいえ、付けなくなってしまっていたの。
「貴女に罪はないよ。貴女を傷付け、苦しめる事だと解っていたのに貴女を愛してしまったのは、そして今も貴女への想いを断ち切れないのは、俺の罪だ。俺一人が地獄へ堕ちればいい。」
『いいえ、私も共に行かせて。貴方がいない事が私にとっては何よりも地獄なの。』
「フッ 抱き込んだ奴が因縁の相手とはお笑いだぜ。」
『ジヴァニア』
上から見下ろし、不敵な笑みを浮かべている。
「安心しなジュリエット。ロミオと共にあの世に送ってやるよ。」
ドォン
仕掛けられた爆弾で道が閉ざされて行く。
「貴様。」
「動くな!! 観念しろ!!」
あれは、公安の彼の部下達。
「日本警察のお出ましか」
何が可笑しいのか薄気味悪い笑みを浮かべている。
「おっと待ちなお二人さん。これが何だかわかるか?」
『「爆弾!!」』
天井の隙間に埋め込まれている。
「こいつは今までのとは違うぜ。このビルが纏めて崩壊する。お前らは瓦礫の下敷きだ。解除しなければルール違反、即刻ラムに報告させて貰う。感謝してくれよ。愛する者同士一緒にあの世に送ってやるんだから。」
「卑怯者め。」
「フン 何とでも言うがいい。いつの世も叶わぬ恋は身の破滅をもたらすのさ。タイムリミットは15分、さて始めようか。」
『スタートの前にいいかしら?』
「何だ。」
『彼と話をさせて』
「面倒な女だ。」
『無粋な奴。私だって一人の女、彼の前では最期まで美しくありたいのよ。』
「わかったわかった。」
( 春香さん?)
『ごめんなさい。貴方を巻き込んでしまって、』
「謝らないでくれ。せめて君だけでも逃がしてやりたいのに」
『言ったじゃない。貴方に残されるのが私にとっては何よりも地獄だと、』
「春香さん」
キスをする素振りをして耳元で囁く。
(私がやるわ。教えてくれる?)
(え?)
(私ならあの隙間に入れるわ。爆弾処理の方法、お友達に教わったんでしょ?)
FBI1のおチビちゃんなんて言われてたけど、それが幸いするなんてね。
『もういいわ。ジヴァニア。』
「そうか。」
*Femme fatale
仏語。魔性の女、または運命の女の意味。
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作者名:Detective A | 作成日時:2018年5月1日 0時