探偵学園Q #0 〜前編〜

episode10 ページ10

「で、犯人分かったの。」





瞬間記憶能力のことは置いておき、究は現在受験者達が頭を悩ませている事件の話に入る。





「...そんなの、これからよ。これから。」





この少女は、瞬間記憶能力はあっても推理力はいまいちのようだ。





「被害者の写真、あれは犯人の正体を知らせるためのダイイングメッセージだねぇ。」





2人の後ろに三郎丸が移動し、自分の考えを言う。





「ダイイングメッセージ...。」





「イエース。」





「この人誰？」





「あ、僕？」





少女は眉間に皺を寄せ、三郎丸を親指で示す。





「東大生。ちなみに、IQは180。アインシュタインて知ってる？」





「うん、知ってる。」





「あ、そう。」





「静粛に！」





ざわめく受験生達に、静かにしろとの注意が飛ぶ。





「シィー。」





自分が話を始めたくせに、少女に向かって三郎丸は言った。





「今から6人の容疑者を紹介する。」





扉が開かれ、薄暗かったこの部屋が、一瞬にして明るくなる。





受験生達からは、「おぉー。」なんて声があがる。





「スタッフが扮した、この事件の容疑者です。6人は現場から2km離れたホテルに宿泊。6人それぞれに被害者を殺す動機は有り。そしてアリバイは無かった。事件直後、重要参考人として警察に身柄を拘束された6人だ。犯人はこの中にいる。」





頭に包帯を巻いた男。





腕を三角巾で吊っている男。





杖を突いている男。





太った男。





70〜80代くらいで、白髪の男。





そして、特徴はこれと言ってない、女性。





「犯人って、これだけのヒントじゃ...。」





「女の人は左利きか。」





容疑者を見ていた少女がそう呟いた。





「なんでそんなことが分かんの？」





「右腕に時計してるじゃん。」





「あぁ〜。」





「頭、腕、杖。あれは、被害者と争ったときに作った怪我だと推理すると...」





「すごいね。」





「あの3番の杖の男、あれは凶器かもしんねぇなぁ。」





「あぁ、そっか。そういう見方もありますね。」







さぁ、究。





君は誰が犯人だと推理する？

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