探偵学園Q #0 〜前編〜

episode13 ページ13

「えっ、えっ、今上がって来ばっかりじゃん。」





メグの言っている事が、全く分からない究。





「あの男、さっきすれ違ったの。あ、ほらあの人。」





そう言ってメグは、グレーの上着に、黒いズボンを穿いた、極普通“に見える”男を指差した。





「あ、でも服の色が違うじゃん。」





「あのジャケットはリバーシブル。そして杖は折り畳み。」





「えぇ〜？」





「あの男...同じ腕時計してた。」





瞬間記憶能力を保持しているメグが言うのだから、間違いは無いのだろう。





「すごいねメグ！さすが瞬間記憶能力。」





「これでさっきの借りは返したからね。」





「OK」





大雑把そうに見えて、意外と律儀なところもあるらしい。





「それと...あの男の子。試験会場にいたもの。」





「あ、そうだ。」





先程の少年が、男の後を付けているのだ。





これで、あの男は3番の、杖を突いた男に間違い無いだろう。





「ほら行くよ。」





「うん。」





3人は、下の階へ降りようと、エスカレーターへ向かう。





「あいつらすっげー...。」





三郎丸は、メグの観察力、そして究の推理力にただ感心していた。





杖を突いた男は変装を辞め、元の姿に戻って駅へ来た。





先程の変装で、男を尾行していた受験生達の約半分程が撒かれ、脱落していた。





男は190円の切符を買った。





「どこ行くんだろ。」





「見えない。」





「190円の切符を買ったでござるぞ。」





2人が困っていると、後ろから武士口調の男が話しかけてきた。





振り返ると、着物を着た20代そこそこくらいの男が立っていた。





「拙者、遠山の金太郎でござる。」





男はふ、と笑うと、2人が覗いていた窓の位置に顔が来るよう、身を屈めた。





「「遠山の金太郎...。」」





時代劇などでよく聞くような名前だ。





「キンタで結構。」





こうして2人に、また新しい仲間が増えた。

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