episode10 ページ10
七海は扉のロックを開け、ケルベロスの檻に入る。
「俺は上層部の了解を得てここに来ている。お前が冥王星に関する、重要な情報提供を、警察と俺たちにする気があるなら、お前の罪を、減じる用意がある」
「私の罪とは何ですか？私はこの手で、人を殺した事はありません。減刑などしていただかなくても、大した罪に問われることはありません」
ケルベロスは鼻で笑い、さもおかしげに、馬鹿にした声でそう答えた。
「取引に応じるつもりはなさそうだな」
究は檻に入りはしないが、近くまで寄り、格子を掴んだ。
「貴方は、冥王星は何故、人の弱みにつけ入るような真似ばかりするんですか？」
「人は…例えどんな善人と呼ばれる方であっても、生まれながらに、犯罪者の種を持っているんです。冥王星はその種に水をやり、手入れをします。すると種は自然に芽を出し、自ら花を咲かせる。憎しみの淵に咲き乱れる、“芸術犯罪”という花をね…」
究はケルベロスを睨みつける。
「例えば…君の大切な人が殺されたらどうします？その相手に、復讐したいと思いませんか？」
関節が白くなるほど力を込めて格子を握る究。
「もしかして、君、あの事……。そうですか…それはさぞかし無念でしょうね。…もう二度と、彼には会えないんですから…！」
そう言って笑うケルベロスに、究は掴みかかった。
「やめろ……！いい加減にしろ…！！」
七海は慌てて究を引き剥がす。
その衝撃で、究は後ろに倒れ込み尻餅をついた。
騒ぎを聞きつけた刑務官もやってくる。
究は悔しそうに地面を叩くと、出口へと駆けだした。
「究！」
メグを筆頭に、5人はその背中を追いかける。
「究待ってよ！」
「そこから先は1人じゃ行けないよ」
究は、ネズミ捕りの前で立ち止まった。
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癒璃華(プロフ) - moeさん» ありがとうございます！次回更新は明日もしくは明後日になりますので、しばらくお待ちください (2021年1月30日 18時) (
レス) id: f0003aed0e (このIDを非表示/違反報告)
癒璃華(プロフ) - ツキツキさん» こちらこそ細かいところまで見ていただいて嬉しい限りです。最後の山の前にワンクッション、私的にはこの作品の山場がありますので、ぜひ楽しんでいただけたらと思います (2021年1月30日 18時) (レス) id: f0003aed0e (このIDを非表示/違反報告)
癒璃華(プロフ) - mikovkookさん» ありがとうございます！そう言っていただけて光栄です (2021年1月30日 18時) (レス) id: f0003aed0e (このIDを非表示/違反報告)
moe(プロフ) - 主人公の両親のことがすっごい気になります！最終話が近づくにつれてドキドキします！続き楽しみにしてます！ (2021年1月30日 11時) (レス) id: 9f41f1fa31 (このIDを非表示/違反報告)
ツキツキ - 癒璃華さん» 事件の連続で息が抜ける部分って本当に貴重ですしそこをしっかり書いてくださってありがとうございます！いよいよ最後の山という事件も間近ですね、期待しています！ (2021年1月28日 12時) (レス) id: 58c4e9965a (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：癒璃華 | 作成日時：2021年1月24日 14時
