episode10 ページ10
「流様が、“冥王星の正統な後継者である”と」
流は俯き、究は驚いて声を上げそうになる。
Aはその口を慌てて押さえ、俯いた。
「どうです?面白い賭けでしょう」
「わかった。受けて立とう」
ケルベロスは去って行き、流も館に戻り始める。
木陰から出た2人。
「流が、冥王星の…後継者……」
「究。一つだけ約束してほしい」
「え、何?」
「天草くんが自分からみんなに話すのを、待っててほしいの。もちろん、天草くんが賭けに負けるって意味じゃなくて。……そのうち、きっともう隠しきれなくなるから」
「っA、知って…?」
「……言ったでしょ、裏で手を引いてる組織がある事に気づいてたって。その組織と天草くんに何か繋がりがあるのはわかってたんだ。冥王星の話を聞いた時点で、なんとなく予想はついてた」
違う、本当はずっと前から分かっていた。
Aは、中学生連続失踪事件の時から知っていた。
そう言わなかったのは、ひたすら隠してきた流の気持ちを汲んでの事だった。
「そっ……か……」
「私、ずっと近くで天草くん見てきて、天草くんの考えてる事とか、よくわかるんだ。天草くんは、後継者だって事実に歯向かおうとしてる。冥王星とは正反対の探偵になる事で、自分に流れる血を否定しようとしてる。………だから、お願い。天草くんにも、知ってるって言わないであげてほしいんだ」
Aは呆れたように笑った。
「天草くん、意地っ張りだから。一番隠したかった究にそうやって言われちゃうと、多分、意固地になっちゃうと思うから」
困ったちゃんだよね、ほんと。
なんて、Aは呟く。
「……ね、お願い。私たちだけの、秘密にしよう」
「わかった……」
究とAは歩いて館に戻る。
2人とも、何も喋らなかった。
究はただ少し、Aにここまで想われる流が羨ましいような気がした。
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癒璃華(プロフ) - 手足さん» きづくの遅くなってすみません!これだけは最後まで書ききるつもりです。最後までお付き合い、よろしくお願いします (2020年12月22日 12時) (レス) id: c85d21b8f5 (このIDを非表示/違反報告)
手足 - 最後まで描いて欲しいです。いつも応援しています! (2020年11月9日 7時) (レス) id: 6bae014384 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:癒璃華 | 作成日時:2020年4月29日 15時