episode22 ページ22
「いつの間に入れ替わって…」
「ついさっきですよ」
「七海先生」
角に固まっていたメンバーが七海に駆け寄る。
「お前らよく真相に辿り着いたなぁ」
「納得いかなかったんです。左門さんが隠し持っていた携帯、部屋を掃除する朋江さんなら気づいていてもおかしくなかった。でも、気づかなかった。いや、気づいていたけど、放っておいた」
「左門さんに葉月さんを殺害させたかった」
「この事件の真相はこうです。冥王星から殺人計画を授かったクライアントは、朋江さん、貴女です!」
「恐らくその計画は、左門さんの殺意を利用し、貴女自身が冥王星のフリをして近づき、左門さんを操り、葉月さんを殺害させる事」
朋江はへたりとその場に座り込んだ。
「冥王星からの犯行予告という形で、僕達をこの事件に関わらせた。この計画をやり遂げる為には、左門さんの犯行だと暴く、探偵役が必要だった」
「そして口封じの為、左門さんを毒殺したんだ」
「どうしてこんな恐ろしい事を?」
朋江はぽつりぽつりと口を開いた。
「私……一人になりたかった」
そこへ遅れてやってきた諸星が合流する。
「相手の財産狙いで結婚離婚を繰り返す母。継ぎたくもないクリニックを継がされて、私の人生って何なのって……親の都合に振り回される人生にもういいや、って……。一人になって自由になりたかった……私は………自分の人生を、運命を呪っていたんです」
流はふいと顔を背けた。
自分と同じ、運命を呪っていた朋江の犯した罪。
流も、もしかしたら自分もこんな風になるかもしれないと恐怖を抱いたのだろうか。
そんな事お見通しかのように、Aは流の手に自分の手を重ねた。
大丈夫だよ、とでも言わんばかりに。
「…ちょっとでも、足掻こうとした?」
ずっと黙っていたAが口を開いた。
「呪うだけじゃなくて、そんな人生や運命、何か変えようとした?」
流の手を握る力が強くなる。
「貴女みたいに、自分の人生や運命を呪ってる人は他にもたくさんいる。でもみんな、その中で必死に頑張ってるんだよ。逃れたくて、苦しくても必死にもがいて。自分が変わろうとしてる。……貴女は、変わろうとした?」
朋江はゆっくりと俯く。
「助けてって声上げた?嫌だって、反抗した?」
Aは悔しそうに、それでいて、悲しそうに顔を歪ませた。
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癒璃華(プロフ) - 手足さん» きづくの遅くなってすみません!これだけは最後まで書ききるつもりです。最後までお付き合い、よろしくお願いします (2020年12月22日 12時) (レス) id: c85d21b8f5 (このIDを非表示/違反報告)
手足 - 最後まで描いて欲しいです。いつも応援しています! (2020年11月9日 7時) (レス) id: 6bae014384 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:癒璃華 | 作成日時:2020年4月29日 15時