episode19 ページ19
「それを明かさなかったのは、あの悪魔のような女の手から身を守るためだ。だが、しかし…右近にあの女の魔の手が伸びる事だけは避けたかった。だったら、いっそ、この手で…」
左門は力なくベッドに腰かけ、ベッド脇のテーブルにあったコップの水を飲み干した。
「…右近はね、本当は頭の良い子なんですよ。私の事故の真相だって最初からこいつは気が付いてた。だから幼稚なフリをして、自分の身を守っていただけなんです」
右近は気まずそうに俯いた。
「そうだろ?右近」
右近は気まずそうなまま、頭に巻いていたバンダナを外した。
「納得できません。あなたは、それ程までに息子さんを愛しているのに、どうして彼が疑われるような手紙を敢えて作り、葉月さんを呼び出したんですか?」
「最初は右近に目が向いても、すぐに疑いが晴れて、二度と、こいつは疑われなくなる。そう考えた」
「この計画を考えたのは、左門さんじゃないですよね?提案してきた組織の名は、冥王星。違いますか?」
左門はゴッホの本を取り出し、本来なら本が入っているはずのケースの中から、携帯電話を取り出した。
「奴らとは、この携帯で連絡を取り合ってた。私が知る限り、やつら、…っ!」
左門の言葉が急に止まり、誰もが不思議に思ったその時だった。
左門の口からは鮮血が噴き出す。
諸星と右近の、左門に呼びかける声だけが響く。
朋江は力なく崩れ落ち、数馬はサイドテーブルに駆け寄った。
「毒だ!」
先ほど左門が水を飲むのに使ったコップ。
「水に毒が入ってたんだ」
「…違う、何かが違う」
Aはぽつりと呟いた。
「これは、冥王星じゃない…………」
わかっちゃった、この事件。
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癒璃華(プロフ) - 手足さん» きづくの遅くなってすみません!これだけは最後まで書ききるつもりです。最後までお付き合い、よろしくお願いします (2020年12月22日 12時) (レス) id: c85d21b8f5 (このIDを非表示/違反報告)
手足 - 最後まで描いて欲しいです。いつも応援しています! (2020年11月9日 7時) (レス) id: 6bae014384 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:癒璃華 | 作成日時:2020年4月29日 15時