episode15 ページ15
「信じてるなんて言わないよ。……でも、私は誰より近くで天草くんのことずっと見てきたから。だから、私は知ってる。天草くんが、いつも、誰よりも強い決意で事件に臨んでる事。ほんとはすごく優しい事。意外と人情深いところがある事。笑った顔が、可愛い事。……誰よりも、悪を憎んでる事。もし天草くんが道を踏み外しそうになったら私が連れ戻す。引きずってでも、殴ってでも」
Aの流に回した腕が、ぎゅっと強くなる。
「だから、怖がらないで。自分の事。天草くんの隣には、いつも私がいるから。………信じなくてもいい。でも、知っておいて。私は、どんな天草くんだって大好きだし、隣にいたいよ」
心からの言葉だった。
「だってそれに、私も…………………………だから」
聞き返す暇もなく、Aはぱっと手を離し、流の隣に並んだ。
「へへ、お話お終い!なんか愛の告白みたいになっちゃって恥ずかしいな」
違ったのか、なんて流は思わなかった。
それ以上に気になる事があったからだ。
「希ノ峰、今、なんて…??」
「ん?どうしたの天草くん、早く行こ!」
少し前に走って行ってしまっていたAには聞こえなかったのか、戻ってきて手を引かれる。
2人が館に入って行った後。
白尽くめの女が姿を現した。
「あの子のせいで失敗に終わったわね。流様と究くんを仲違いさせる罠」
ケルベロスは、鼻で笑った。
一方捜査に戻った流は、集中しなければいけないと思いながらも、先ほどのAの言葉ばかりがぐるぐると頭の中を回っていた。
一体、どういう意味なのだろうか。
真意は?
どれだけ考えても、答えは出ない。
とにかく事件の事に集中しようと、流は頭を振って気持ちを切り替えたのだった。
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癒璃華(プロフ) - 手足さん» きづくの遅くなってすみません!これだけは最後まで書ききるつもりです。最後までお付き合い、よろしくお願いします (2020年12月22日 12時) (レス) id: c85d21b8f5 (このIDを非表示/違反報告)
手足 - 最後まで描いて欲しいです。いつも応援しています! (2020年11月9日 7時) (レス) id: 6bae014384 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:癒璃華 | 作成日時:2020年4月29日 15時