マモン ページ13
それからなんとか落ち着いて貰って、ようやく噂の遺書を見せてもらった。
別におかしな所は何もない、普通の遺書だった。宇髄さんは眠いのだろうか、大きく口を開けて欠伸をしている。
「A、読んでくれ」
「え、あ、はい。じゃあ読みますね。『子どもたちへ』」
「ほら!お母様の名前はないじゃない!」
「ちょっと黙ってくれませんか!?」
ちょっと腹が立っていたので強めに言うと娘は「ご、ごめんなさい」と席についた。それから咳払いをして仕切り直す。
「『子どもたちへ。これを読んでいるということは、既に私はこの世にいないのだろう。これは私からの最後の教えである。最初から最後までよく読んでほしい。兎に角、この世は人と人との繋がりでできている。人の助力を得なければ成し遂げられぬことも多かろう。いかなる人のいかなる仕事でも、猿にでも出来ると馬鹿にするものではない。その人を信じ、敬う気持ちを忘れてはならない。お前たちの人生が実り豊かなものであることを願う。』」
ふう、とひと息ついた。本当に暗証番号は書かれていなかった。数字が1つもない。困り果てて、取り敢えず金庫を見せてもらうことにした。金庫は5桁の数字で開くようだった。私が金庫を見ている間、宇髄さんは金庫に目もくれずただ遺書をまじまじと見つめていた。
「宇髄さーん。暗証番号5桁ですよ」
「・・・」
「え、無視ですか・・・ちなみに、この遺書はどこで見つけたんですか?」
「あの方の書斎の机の引き出しです。あと、遺書と一緒にあの方が大切に使っていたアンティークの懐中時計が入っていました。」
「へえ、アンティークの!いいなぁ私もアンティーク、欲しいんですよね」
「よろしかったら幾つか小物を差し上げますよ。私たちああいう類いのものは興味がなくて・・・」
「ええっいいんですか!?」
うわあ嬉しいなと気分が高揚し始めた辺りで宇髄さんがぽつりと何かを呟き始めた。それから「メモ!」と私に言ってきたのでメモを貸すとスラスラと何かを書き始めた宇髄さん。それから顔を勢いよくあげて、
「開けてやろう!ド派手にな!!」
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なるせ(プロフ) - 心さん» コメントありがとうございます!続編に移行しました。これからもよろしくお願いします。 (2020年5月5日 1時) (レス) id: e20a86a6d7 (このIDを非表示/違反報告)
心(プロフ) - とってもとっても面白いです!更新頑張ってください!楽しみに待ってます! (2019年10月6日 21時) (レス) id: 2141c8a0fe (このIDを非表示/違反報告)
なるせ(プロフ) - クラゲさん» ですが鬼だったキャラは響凱同様、今後も一寸ずつ出していこうと思っています。それでもよろしければ、これからもよろしくお願いします。 (2019年9月24日 21時) (レス) id: e20a86a6d7 (このIDを非表示/違反報告)
なるせ(プロフ) - クラゲさん» コメント諸々ありがとうございます。本当に期待を裏切るようで申し訳ないのですが、ややこしくなってしまって私では書ける自信が無いので組織どうこうは今のところ考えていません。 (2019年9月24日 21時) (レス) id: e20a86a6d7 (このIDを非表示/違反報告)
クラゲ(プロフ) - コ〇ンだと、敵が黒の組織だから、この作品は無惨様と十二鬼月が敵になりそう…… (2019年9月24日 20時) (レス) id: 3962cab233 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:なるせ | 作成日時:2019年9月23日 12時