【d!】仮契約 (ページ6)

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第六話ページ6

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「お前…」

「…えっ?!」

四人は、呆然としながらボタンを押した彼女に視線を送る。事の重大性に気づいたのか、慌てて勢い良く彼女に向けて両手を合わせて謝罪する。

「ごめん！ずっと見てたから、てっきりその人に会いに行くのだろうと思い、ボタンを押してしまいました！今度パシリで！」

「良し分かった。焼きそばパンを献上するが良い！」

「お前のじゃないわッ!」

熱烈なボディーが、男子の腹に炸裂し床に突っ伏す。拳を入れた女子は、空気に向かってジャブを繰り返す。
周りの生徒は騒ぎに対して、困った顔をしながら見ていた。

「…ウチのが本当に申し訳ない」

「…私からも謝罪を。本当にごめんなさい」

悲惨な状況を見ていた二人は揃ってAに頭を下げた。慌てて、Aは椅子から立ち上がる。

「ほ、ほんとに大丈夫ですから…！」

「…本当の、本当に大丈夫？」

「なんならボディーを決めるか？」

「それ、俺がッ、痛い思いを、する気がッするんですけどッ…！」

腹に一撃を入れられた男子は体を痙攣させながら、前のめりの体勢で床を前進する。その姿には哀れみの視線が注がれていた。

「取り敢えず、俺達はコイツを保健室に連れてくよ。今日はフリーだからね」

「そうしましょう。それじゃあAちゃん。また会えたら！」

「Aちゃんッ！今度お昼ご飯なんでも言ってね！奢るから、絶対に奢るからッ！」

「…あっ、はい。待っています」

倒れた男子を二人は腕掴んで引きずり、一人はその後を追った。離れた四人を手を振って見送った。姿が見えなくなり、席に座る。画面を見ても、申請の申し出が画面から消える事は無かった。

委員の人に連れられながら、彼が待っているであろう部屋へと場所へ案内される。しばらくすると、一つの部屋の扉の前へ辿り着く。

「このお部屋になります」

「ありがとうございます」

「いえいえ。それと一言余計な言葉かもしれませんが、貴方にとってこの出会いが良い物である事を勝手ながら祈らせて貰います」

教員を彼女に深く頭を下げて、この場から立ち去って言った。残されたのは、彼女と扉だけだ。意を決して、彼女はドアノブに手を掛けた。