【d!】仮契約 (ページ5)

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第五話ページ5

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「俺、Ωの扱い方なんて分からないんだけど、どうしたらいいと思う？」

「…仲良くなる事が最優先じゃないかな。Ωもβの人達も私達の事怖がってると思うし」

「昔は、相当凄かったらしいね。αの行動」

一人の男子の言葉に、話を聞いている二人は揃って頷いた。

「ヒート状態のΩを無理矢理番にして、運命に出逢えばその子は…！ヤベェメチャ最低な事しかしてねぇじゃん?! 俺ら!?」

咄嗟に頬を両手で抑えながら男子は一人絶望の表情を浮かべた。その様な事例もあった為、Ωとβの人達はαを危険視している人も居る。

クラスの会話を聞きながら、画面に映し出されているとある人物の情報を眺めていた。夢中になっているAへ一人の女子生徒が声を掛ける。

「Aちゃんは、どんな人が良いの？」

「えっ、私ですか？」

「うん。さっきから凄く真剣に画面見てるから、良い人いたのかなって」

確かに、一人だけ知っている人がいる。そして、彼がΩの姓を持っている事も不幸なアクシデントで分かってしまった。

「もしかして、Aちゃんは運命に出会ったのかなぁ？」

別の女子生徒が、顎に親指と人差し指を備えながらニヨニヨと楽しげに笑っていた。

「ならばァ、貴様がするべき事はひとぉつ！今！直ぐに!!会いに行け!!」

「そう、運命は一筋の流れ星のようにたった一つだけの運命ィ！行かねば損！行けば得！この荒野を馬の様に颯爽と駆け抜けるのだァ!!」

「いや、空なのか、陸なのか、どっちかにしなよ」

息の合った男女二人は揃って高らかに宣言する。ポーズが決まったのが嬉しいのか、心なしか嬉しそうな顔をしていた。

「まぁ、あの二人は置いて置いて。面会の申請だけ送れば良いと思うよ。通るなら、良い縁が出来た事になるからね」

視線を改めて画面へと戻す。写っているのは先程の彼。右下には面会申請ボタンが映し出されていた。迷う彼女の背後に一つの影が現れる。

「よっと…！」

『…あっ』

背後の者により面会のボタンが押され、面会申請を送付したという文字が出てきた。