【d!】仮契約 (ページ4)

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第四話ページ4

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「さて、皆さん。知っての通り、我が校もバース性によって校舎が別れています。もし番や仮契約をしている者に会う際には先生に腕章を貰ってから、特別共同スペース内での面会になります」

例え、番や仮契約をしている者であっても不用意に他のバース性がいる校舎への立ち入りは禁止されている。

「ここからが問題です。これから貴方方にやって欲しい事があります」

「先生！それはなんですか？」

「仮契約です」

告げられた言葉に教室内が一気にざわめきを覚える。一人の生徒が手を伸ばし発言する。

「先生。仮契約は強制ではなく任意だと聞きました」

「…勿論。その通りです。これは命令ではなく、お願いであり、断る権利は当然皆さんにありますが、仮契約をお願いする理由もあります」

ざわめく教室は、途端に静かになった。

「一つは、αは強者です。ですので、他のバース性を守って上げて欲しい。二つ目は、αの偏見的な認識を変えて欲しい。三つ目は、貴方方自身の力で運命を見つけて欲しいのです」

それは、先生自身の本心の願いでもあったのだろう。語る言葉が少し、震えていた。

「運命に出会えば、仮契約など無意味になってしまいます。ですが、それでは余りにも惨すぎる結末です。もしも、仮契約から番へと本当に真に、傍に居たいと誓えるのなら、ずっとその子の傍に居続けてあげてください。それだけで、十分番にとっては幸せなの事なのです」

傍に居たいと思った相手が本物でなくとも、共に居たいと願った思いに間違いは無い。

「では、皆さん。後悔と悔いが無い、学生生活をどうか送ってください」

先生は生徒に一礼して、ホームルームは解散となった。
先程の先生の言葉を思い出しながら彼女はハンカチを取り出す。洗濯をしたおかげで、とても綺麗になって帰ってきた。

嫌な思いを、自分は彼にさせてしまったのでは無いのだろうか。ぐるぐると、不安な思いが胸の中に溜まるような感じがした。