【d!】仮契約 (ページ18)

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第十八話ページ18

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「え、あァ、ありがとう、ございます…」

緊張と恥ずかしさで、顔を伏せてしまった。そんな所も可愛いらしいと思いながら、彼女の手を握る。

「立っていると、疲れるだろう？こっちにソファがあるゾ」

握る彼女手を引いて、部屋の中を歩いて行く。辿り着いた場所は小さな個室のお部屋。中に入ると、テーブルを囲うようにソファが置かれていた。入って真正面には、大きな縦長の窓ガラスが貼られている。置かれているソファに二人は腰を掛けた。

「A嬢は俺に嬉しい言葉をくれたな」

「…なんの事ですか？」

「先程、俺に会いたかったと言ってくれただろう？」

「た、確かにそう言いましたけど…」

「今、私の胸の内は歓喜に満ち溢れている！恋い焦がれている人からの愛の告白という物を体験した事が無い自分にとって先程のA嬢の言葉は、なかなかに来る物があった！」

胸に手を当てながら語るその姿は、民衆に語る演説のようであった。

「実に、嬉しかったぞ！」

ただの言葉だとそう彼女は思っているかもしれないが、Ωは実に単純な生き物だ。こうやって番である相手の言葉一つ二つに心を容易く踊らせる。
我ながら、なんとも哀れな生き物だろうかと我が事であるが、そう思ってしまった。

「だから、A嬢。俺を愛していなくとも、見捨ててくれるなよ？」

こんな哀れで救いようの無い生き物を落としたのだから責任を持って、傍に居てもらわねば困るのだ。