第十二話 ページ12
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もぞもぞと布団の中で、寝返りをする。真上から、着信音が聞こえてくる。手を上にあげて、床に置いてあるスマホを探す。充電器を離して、スマホを薄目で見つめる。
うっすらと見えたのは、緑の通話アプリから着信が表示された事だ。着信ボタンをスライドして、電話に出る。
「………はい」
「――Guten Morgen。眠たそうだな、A嬢」
耳元に添えた携帯から、聞き慣れた低い声が突然聞こえてた。びっくりした彼女は、枕元に携帯を落とす。
「え、あ、ふゅ、フューラーさん!?」
「やぁ、A嬢。素晴らしい、モーニングコールを貴女に届ける事が出来て、私はとても嬉しいゾ」
モーニングコールが成功したのが、喜ばしいのか電話越しで楽しそうに笑っていた。
「ありがとうございます。さっきまで、ホントに横になって寝ていたので」
「A嬢は休日はゆっくり休みたいタイプだろう？」
「そうですね。出来れば、家の外からも出たくないです」
「そうか。それは悪い事をしたな。放課後の方が都合が良かったかもしれんな」
「あ、いや、大丈夫です！ 約束した以上はちゃんとフューラーさんとの約束を優先させますので!」
彼女の言葉に通話が数秒無音になる。声が聴こえてこない事に、不思議に思った彼女は、音声をスピーカーに変更させる。
「A嬢」
「は、はい！」
スピーカーに変更した彼の声は先程より威圧感を感じた。数秒ほど待って、彼は話す。
「待っているからな」
「は、はい。待ってて下さい！ 走って行くので！」
「…そうか」
それを最後に通話は終了した。布団から起き上がり、窓を閉めているカーテンを開ける。空は、雲ひとつ無い快晴であった。
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作者名：無地 | 作成日時：2023年10月31日 10時
