♯13 そろそろ行くよ？ ページ14
樹先輩とハルトくんが横たわっているところを放っておくわけにはいかない
けど
「大丈夫だって、二人とも、また、記憶を失って過去に戻るだけ。便利だろ？この職業につかなかったらこんなことできやしねぇんだ」
「・・・」
ただ、無言で肯定するしかなかった
ごめん、ハルト君
「君も、私も、あいつもこいつも。何度だって、何度だって、繰り返すんだ？・・・・おやすみなさい、またお仕事の時間だね・・・」
私はその場から姿を消していった。
＊
「ｯ・・・！！？」
朝、目が覚めるといつも通りの薄暗い自分の部屋にいた。
頬を触ってみると、涙が流れていた。
近くにあったティッシュケースからティッシュを何枚かとって適当に拭く。
「なんだ、夢か」なんて言葉を一度でもいいから発してみたいと思う。
「あいにく、生まれてからこの方、同じような夢しか見てないもんですから」
誰もいない部屋で、独り言をつぶやくのはきっと、自分がさみしいのを抑えてるんだと思う。
「さみしいよなんて言葉も、だれか助けてなんて言葉も届かない。・・・だから、俺はそんな人たちの`運命`を変えたいんだ」
運命なんて、罰ばっかり。
運命なんて、嫌味ばっかり。
運命なんて、辛さばっかりだから。
「もしもし、どこかのどなたか・・・運命をぶち壊してほしい方、変えてほしい方はこの無力で嘘つきで、偽善者の俺まで・・・・・・・・・お申しつけくださいな」
＊
彼女のことは、よく知っている。
彼女は緑色の目立つ髪の色とその少し変わっている髪型のみ。
彼女の名前はチトセ。俺の名前はハルト。
「さぁてト、ハルト君。今日はネぇ、ボスが呼んでるんダ。特に事件はなしだかラ」
「まさか・・・・説教とか？」
「お、さっすがハルトくン。人とは違うネガティブな考え方でス。まぁ、そりゃあ学校も行ってない私たちのような人種は、休日は暇だからテレビを見るか、漫画を読むかに絞られるいわゆるニートみたいなものだけれド」
皮肉を交えながら、話をしてくるのももう、すっかり慣れている。
彼女とはかれこれ・・・・・・・・・・年の付き合いだ。お互いのことは、一番知っている。
俺は、机の近くにある椅子にくしゃくしゃになってかかっている学ランの上を羽織って仕事へと向かった。
＊
「運命ってさ」
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作者名：春雨 | 作者ホームページ：https://twitter.com/yam_yam353
作成日時：2014年2月27日 22時
