何で······ ページ27
燭台切side
あの後、僕は審神者の監視を任された。
顔を知られているし、適任だと判断されたんだろう。
審神者は何故か枯れかけた木に話しかけていた。
あの木は僕らがどれだけ世話をしても、元気にはならなかったんだ。審神者なんかに治せるはずがないと思っていた。
でも
燭台切「!?」
あの審神者が霊力を流した瞬間、木に生気が戻った。
そしてこの本丸があいつの霊力で塗り替えられた。
燭台切「····」
あいつの霊力はこれまでの審神者と全く違った。
暖かくて、それでいて少しだけ哀しみが纏う霊力だった。
僕はこの霊力を知っている気がした。
それでも、この本丸に来た人間はひどい人しかいなかった。
だから、そう簡単には信頼できないと思った。
次の日の朝、僕は驚いたよ。
あの審神者が小狐丸を引き入れたなんて。
小狐丸は僕らが呼びかけても戻っては来なかった。
····でも、この本丸で誰かが笑っているのを見るのは
いつぶりだろう。
あの審神者なら·····
そう思った時、僕は気づいたよ。
僕の中にまだ'大切にされたい'っていう思いがあったこと。
でも、希望を見ていたら裏切られた時に辛くなるだけだ。
だから、その思いは殺して
燭台切「お昼ごはんを作らなきゃ」
そう言って僕は台所に向かった。
燭台切「あ」
そこで審神者に会うなんて思いもせずに···
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作者名:和菓子好きな人 | 作成日時:2022年7月6日 22時