水深93m ページ45
いつもの夢は…
沈んでいくのは心地よいのに
目覚めは最悪なんだけど、
今日に限って、目覚めさえも心地よい。
目を開けると、人魚の涙をポタポタ落とし
不安そうにオレを見るAが居た。
長い髪を耳にかけ、オレの声がちゃんと届くのか
耳に触れ確かめる。
触った耳元に耳栓を外していることを知り、
苦しい呼吸を整えながら言った。
「聞いて…ほしいことがあるんだァ。」
Aはつり目を更につり上げ、
大きく見開いたかと思えば
その目をゴシゴシと擦り
「生きてて良かった…」
と呟いた。
その言葉はまるでいつもの夢の続きのようだ。
「オレ…ガキの頃…
ここで溺れたことがあんだ。」
Aは目の前の海を眺めながら頷いた。
「その時さ…
オレのこと助けてくれたヤツが居たんだけど…
12年間、夏になるとオレの夢に人魚になって現れて…」
Aの視線がオレの方を向いた。
A「人魚？」
「アァ。
水中を自在に泳ぐ、すっげー綺麗な人魚…
あの時さ…オレを助けてくれたのって…
おめェだろォ？」
Aは何も答えなかったけど、
夕陽に照らされ、キラキラした髪をかき上げ、
とても綺麗な笑顔で微笑む。
「伝えに来たんだ…。
12年間、秘めた想いを…
この…人魚の海に溺れたここで
Aにどうしても伝えたくて。」
A「なーに？」
身体を起こしてAの隣に座った。
いつも間にあったベプシがないせいか
二人の隙間は0㎝。
「人魚の海に溺れたあの日から今日まで
ずっと…オレはAが好きだった…。
高校入っておめェに出会って…
オレはどんどんAに溺れたんだ。」
伝えたい想いは
言葉にするのが難しくて
今の気持ちをそのまま伝えた。
ありのままの想いを伝えた。
「A…オレはこの先もAに溺れてー…。」
A「靖友…水は今でも嫌い？」
「いや、Aが居る水は…大好きだヨ。」
A「靖友…私も大好きだよ。」
「おめェ…大好きって…まァた水だろォ？！」
A「違うよ！
靖友が………
……………大好き…。バカ。」
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eye(プロフ) - Ａｋｋｉｙさん» コメントありがとうございます。私と遠すぎる初恋を思い返しながら書きました(笑)結構前に書いたものなので特に読みにくいものなんですが、お楽しみ頂けたようで嬉しく思います(^^) (2016年5月20日 16時) (
レス) id: ec48e3633d (このIDを非表示/違反報告)
Ａｋｋｉｙ(プロフ) - 一気に読みました。遠い初恋を思い出しました(笑) 爽やかなお話しに、このくすみきった心が洗われ清々しい気持ちです＼(^-^)／ (2016年5月20日 1時) (レス) id: ccff988e52 (このIDを非表示/違反報告)
篠山りぃな(篠崎りぃな)(プロフ) - eyeさん» はい！ふぁいとです！ (2015年10月17日 6時) (レス) id: c4fd259c0d (このIDを非表示/違反報告)
eye(プロフ) - 篠山りぃな(篠崎りぃな)さん» 応援ありがとうございます(^^)楽しみにして下さる方がいるっていうのは書く意欲が高まります！ (2015年10月16日 21時) (レス) id: cbecc21577 (このIDを非表示/違反報告)
篠山りぃな(篠崎りぃな)(プロフ) - eyeさん» いえいえ！こちらこそありがとうございました！隣人シリーズのペースが上がるとは！とっても嬉しいです！頑張ってください！ (2015年10月16日 20時) (レス) id: c4fd259c0d (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：eye | 作成日時：2015年9月29日 19時
