50.進まない、気のせいじゃない ページ4
月曜日は仕事に取りかかるのが少しだけ遅れる。
事務所内で行われる全社員での朝礼で
各部署の進捗状況の発表があったり。
商品企画部での今週のミーティングがあったり。
工場からの今週の生産スケジュールの連絡があったり。
なんだかんたで午前中はあと1時間もすればお昼休みを迎えてしまうな
なんて思いながら、ようやくデスクにつくと
荒北くんがイスを蹴って
真後ろまでやってきた。
何度も経験してるこの荒北くんの行動は
毎度、私の時を止める。
荒北「昨日作った棚割りの提案、確認してほしいんだけどォ？」
「あれ？
昨日は休みだったはずじゃ…。」
荒北「青嶋サンが明日までに提案しろっつってたからァ……
昨日、来てやったんだヨ。」
長い指でポリポリと頭をかき、
つまらなそうな顔して自分のパソコンを指さした。
「言ってくれたら金曜日に私が作ったのに。」
荒北「……かヨ。」
イスをクルリと回転させ、背中を向けながら呟いた返事は聞き取れなくて。
「はい？」
荒北「チッ。」
なぜ、今舌打ちしたの？！
喋る声より大きな舌打ちってなに？！
私が作ったのに
なんて言ったのがそんなに嫌だった？！
え？！
後で言うくらいなら先に言え的な？！
私、青嶋さんのとこの棚割りの提案が明日までなんて知らなかったよ？！
荒北「走るために休んで仕事押し付けられっかヨ…。」
再びイスを回転させて正面を向いたかと思えば
何てこと言うんだ。
そんな照れたように眉を寄せ、
唇を尖らせた顔は一体何と呼ぶべき表情なんだ。
「あの…。
あぁ…。はい。」
とても数ヵ月前の悪態ばかりをついていた荒北くんからは想像もできない発言に
なんて返したら良いのか分からなかった。
ていうのは、彼の上司として。
本当は…
その表情がすっごく可愛くて。
もう時が止まってしまえば良いのにと思うくらい、いつまでも見てたい…
なんて思ってた私の時は本当に止まってしまっていたようで。
荒北「早いとこ確認してヨ。
オレ、他にもやることあっからァ。」
と言う荒北くんは
とっくにイスを自分のデスクに戻してパソコンの前に座っていた。
こんな調子で
全く進まない仕事。
荒北くんの提案を確認しただけで
もうお昼休みになってしまった。
自分の仕事、全然してないや。
人を好きになるのって難しいな。
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なのくさ - 泣きました。 夢小説で、なくなんて思わなかったですけど、とっても感動しました! (2019年7月29日 21時) (
レス) id: b643c5bfb9 (このIDを非表示/違反報告)
妄想系女子(。-∀-) - この小説読んで荒北好きになりました！会話文ばっかりじゃなくて、心情とかの表現も共感できて読んでいて本当にドキドキして面白かったです！もう、なんというか、ご馳走様です(ﾟ¬ﾟ*) (2018年9月30日 23時) (レス) id: 7100b370ac (このIDを非表示/違反報告)
eye(プロフ) - るきさん» コメントありがとうございます。私には勿体なさすぎるお褒めの言葉、ありがとうございます。恥ずかしいくらい嬉しいです(笑)お楽しみ頂けたようで光栄です！こちらこそ、最後までご覧頂き、ありがとうございました。 (2016年7月16日 15時) (レス) id: ec48e3633d (このIDを非表示/違反報告)
るき - すごくキュンキュンしました。こんなにいい作品つくれるなんて。すごい、プロの小説家みたいです( ´ ▽ ` )ﾉほんとすごい、面白かった。ほんと幸せな気持ちになれましたありがとうです(((o(*ﾟ▽ﾟ*)o))) (2016年7月16日 14時) (レス) id: 12db367a59 (このIDを非表示/違反報告)
eye(プロフ) - Ａｋｋｉｙさん» こちらもコメントありがとうございます。原作要素はロードに乗ってるってことくらいですが、荒北さんならこんな社会人になってくれてるかな、なんて(笑)真面目な恋物語は苦手な私ですが、お楽しみ頂けたようで嬉しいです(^^) (2016年5月21日 21時) (レス) id: ec48e3633d (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：eye | 作成日時：2015年12月4日 21時
