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イ「あとはこのリボンを…いいわ、完璧ね!」
イヴィのデザインはオラドンで大人気なようでフィッティングの順番が回ってきたのはあれから数日後のことだった。
「イヴィは本当に才能があるのね。」
イ「ありがとう。それも全部ここに来れたからよ。」
チラリと見えたデザインを見ればイヴィはキラキラした笑顔で答える。
イ「スノーたちが受け入れてくれたから私はここから始められたの。」
「イヴィ…」
彼女は自分に出来ること全てを全力でやってる。そんな輝いている彼女が作ったこんな素晴らしいドレスを私は着る資格があるのだろうか…
イ「スノー…?何かドレスに良くないところがあった?すぐに直すけど…」
「あ、いや…あなたのドレスは完璧よ!本当に。私が…いけないの。」
イ「スノー。あなたは初めてあった時も、ここの人にまだ受け入れられていない時もいつも私を助けてくれたわ。今度は私が助ける番よ。」
イヴィは私の手を引いて椅子に座らせる。私はぽつり、ぽつりと静かに言葉を紡いだ。
「ねぇイヴィ。好きな人が人気者で自分なんか相手にされっこないって時にはどうしたらいいの…?」
イ「…それってジェイのこと?」
「え…」
なんでって顔をすればあなたわかりやすいわ。お顔に全部出てるわよと微笑んだイヴィは私の頬をツンと指す。もしかして…
イ「大丈夫。ジェイは…何にも考えてないから気づいてないわ。それが問題だけど。」
「舞踏会も1人で行くと聞いたわ。誘えっこない。」
イ「だからワインレッドとブラックを使って欲しいって言ってたのね。」
珍しいと思ったの。とっても似合ってたけど。と言うイヴィにあなたが素晴らしいデザイナーだからよと返せば照れくさそうに笑うイヴィ。
イ「スノー。あなたには誰にも持っていない武器があるじゃない。」
「そんなの…」
イ「あるわ。信じる心、美しい心よ。絶対にジェイに伝わるわ。」
大丈夫と手を握ってくれるイヴィ。少しだけ安心して体の緊張がほぐれる。
そんな時ノックが聞こえジェーンが入ってきた。
ジェ「スノーー?マルにカトラリーについて聞いた?」
「あっ!いけない!今からマルに聞きに行くわ。イヴィ、部屋行ってもいい?」
イ「オーケー。私もマルにアクセサリー選んでもらうから一緒に行くわ。」
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作者名:ちくわ | 作成日時:2022年5月26日 15時