コクロウサマ、どうか。 (ページ37)

今日:5 hit、昨日:11 hit、合計:17,092 hit

【コクロウサマ】と養父。ページ37

Agotiが少し爆弾を投下してからまもなく、突き刺さるような視線から柔らかい視線が向けられた。

「それはそれは……とんだご無礼を。なんとお礼すれば良いのか……」

私に対する疑いは残るが、今は息子が無傷なのを喜ぶ他はないのだろう。

それからは私とAgoti、二人がかりで知りうる限りの全てをSolazarさんへ共有した。

あの後に、すぐ自己紹介をしてもらったのだ。

SolはAgotiの考えた、所謂ところのあだ名らしい。

Solazarさんは考える素振りをしてからこう言った。

「そこに、赤いドレスを着た茶髪の女性は居ませんでしたか？」

「……居たな。Aと、青髪のチビ。そして茶髪のガキ。」

「……まさか……いや。」

頭を抱え始めたSolazarさん。

彼女ちゃんのことか？あの子が何なのだ？

『あのー、水差すようで悪いんだけど……あの子達とは毎日行動してるぞ、私。』

Solazarさんの口からはまずいな……と聞こえてきた。

何がだ、と聞こうとしたが、Agotiは痺れを切らしたのか、疲れたのか、会話に割行って「それよりも俺は疲れた。」と至極つまらなさそうに言った。

その一言で我に返ったのか、Solazarさんはしばし沈黙したあとに「そうだな。」とだけ返した。

「なにはともあれ、Agoti。お前が無事で良かった……」

優しく我が子を抱きしめる姿には感動させられるものがある、しかしそれとは逆にAgotiは「Aが見てるから、恥ずかしいから勘弁してくれ！」と藻掻き始めた。

少し面白かったから言ってやった。

『私の事はおきになさらず〜。』

「お、鬼！」

AgotiとSolazarの攻防は5分にも及んだ。

あんな再開を見せられたら誰だって止めれまい。

まあ、またあのニブチンは察せなかったが。

Solazarさんは軽く咳払いをしてから私をしばらく見てから一言。

「明日、会うことは可能でしょうか。」

『……え？』

「明日、貴女と行動を共にしていたという、ディアレスト家の娘……ああ、赤いドレスを着た茶髪のお嬢さんです。についてお話をお聞かせ願いませんか。」

暖かな家族間の雰囲気から一変、急に敬語へ戻ったことへ唖然とする。

これがプロか……と思いつつも、『構わない。』とだけ返事をする。

「ありがとうございます。では待ち合わせは何処に致しましょうか。」

『……コクロウサマ。コクロウサマの社で。』

「うげ、あそこ、カップルの聖地じゃねぇか。」

Agotiは嫌そうであったが、Solazarさんは律儀にメモをとっていた。