【祝福の人狼】と叱責。 ページ17
「お兄ちゃん……!Aさんは悪くないんだよ?」
「Rasazyは静かにしていてくれ、お兄ちゃんからのお願いだ。……これは俺のことだからRasazyには関係ない。」
Rasazyちゃんは傷ついたように押し黙る。
下を向いて、震えながら本を強く抱きしめるRasazyちゃんを見て、私の中の何かが切れた。
せっかく、仲裁してくれようとした大切な妹を傷付けてまで何をしているんだ。
そんな小さな見栄で、替えのないただ一人の妹の厚意を無下にした挙げ句、踏みにじった。
これはAとして言わせてもらうが、失くして気づくものでは駄目だ。
二人は本当の意味で一つ。
どちらかが欠けても駄目。
だけど、今のSeleverは自らRasazyちゃんを切り離そうとしている。
間違った道へ進みそうだったら、正すのもまた母親の役目。
役目は全うしなければならない。
『……Selever。今の意味、分かって言ってんのか?』
「………」
『お前が今言ったのは、うざいから関わるなってことだ。大切な妹にそれはねぇよ。』
「そんなこと……」
『よく思い返せ。』
ヒントは与えた。
後はSelever次第だ。
これで気付けぬのなら、こいつはそれだけの奴だったってこと。
しかし、気付けたなら兄として大きな一歩を踏み出せよう。
自分のやったことにやっと気付いたのだろう、考えること一分足らずで理解したようだ。
想像より気付くのが早かった。やはり根はしっかりしていた。
みるみる顔が歪んでいく。
「あ……Rasazy……本当にすまない……すまない………」
「ううん、お兄ちゃんが大丈夫ならそれでいいの。」
『だってよ。良かったな、こんな健気な妹で。……こんな良い子を二度と、悲しませるような真似はするなよ。』
「Aも……すまない。」
幾分か冷静になってきたようで、声色にも落ち着きが見られた。
謝罪をしたのがこの証拠だ。
普段は高慢な彼が誰かに謝るなぞ、中々無いが、今は勝手が違う。
妹が絡むとプライドもかなぐり捨てるくらいに必死になる姿を見る限り、そこに確かな情があるのだろう。
『お兄ちゃんってのも大変だよね。』
「は?急に何を……」
『妹を支える割には自分は自立しなければならない。両親が普段は居ないなら尚更。私も色々と背負って生きてきたけどよ、辛いし苦しいし消えたくなるくらい悲しくもなる。』
「………」
『まあ、そっくりそのまま返すが要するにお前も気負いすぎだ。』
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おげげいげ(プロフ) - 無名さん» 待たせてしまい、申し訳ありませんでした! (2021年10月11日 15時) (レス) id: 2c07cc7f92 (このIDを非表示/違反報告)
無名 - 復活おめでとうございます!ワ-イ (2021年10月10日 17時) (レス) id: 776fdad7d6 (このIDを非表示/違反報告)
ヘル - おう…気を付けてー! (2021年9月20日 0時) (レス) id: efcdee336a (このIDを非表示/違反報告)
たっくぅ - 楽しみだぜ ゲヘヘヘヘ (2021年9月17日 22時) (レス) id: b647fd1089 (このIDを非表示/違反報告)
ヘル - さあこっからどうなるのか…楽しみですねぇ…フフフ (2021年9月13日 18時) (レス) id: 39d77ce8e1 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:おげげいげ | 作成日時:2021年9月8日 20時